07/05/16 19:41:23
中国株が過熱気味だ。2月末の上海発の世界連鎖株安など遠い昔のように、上海総合株価指数は
4000を突破、年初来の上昇率は一時50%に迫った。15日には大幅反落するなど、値動きの荒さは
過熱相場の危うさを映す。
人口13億の中国の人たちは利殖の手段として、株式投資に魅入られているようだ。「株民」と呼ばれる
個人投資家は約9500万人となり、共産党員をはるかに上回る。株式投資用の口座開設が1日だけで
40万件に迫った日もある。毎朝、証券会社の営業開始時には、シャッターが開くのを待ちわびていた
個人投資家が営業カウンターに殺到する。
確かに、中国の経済や企業業績は好調だ。実質成長率は年率で10%を上回る。中国人しか投資でき
ないA株と呼ばれる株式を上場している企業の一株利益は今年1―3月期には前年同期比80%以上増えた。
それでもさすがに、最近の株価急騰には警戒感が強まり、米ゴールドマン・サックスはPER(株価収益率)
の割高さを指摘し、「バブルに発展しかねない」と警告した。海外の通貨当局者ばかりでなく、中国人民銀行
(中央銀行)の周小川総裁さえもバブルへの「懸念」を表明しているほどである。問題は口頭注意では高騰
が収まらなかったことだ。
人民元の上昇をなだらかにするため、人民銀は大量のドル買い介入を実施している。介入額は1―3月
だけで1300億ドル強にのぼった。ドル買いの対価として人民元がばらまかれ、カネ余りをもたらしている。
人民銀は債券などの売りオペで資金を吸い上げるが、とても吸収し切れない。当局は昨年後半に不動産
投機の規制に踏み切った。その結果、マネーが株式に流れ込んでいるのだ。
今年秋に共産党大会を控えた当局が思い切ったブレーキを踏むのは難しいかもしれない。それでも、
短期金利上げや証拠金比率の引き上げなど、株式市場の過熱抑制策をとるべきだろう。根っこにある
資金の奔流を制御するには、もっと人民元の柔軟性を高める必要がある。バブル崩壊の苦い経験を持つ
日本の当局は、良薬口に苦しの忠告をした方がよい。個人投資家もしっかりと投資リスクを認識すべき
時期にきている。
ソース:日経
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