07/05/12 14:45:53
中国の06年の経常黒字が約30兆円に達し、日本を10兆円上回って世界一となったことが、
中国国家外貨管理局が10日発表した「国際収支報告」で明らかになった。貿易黒字の急増が
主因で、中国政府は巨額の対中貿易赤字を問題視する米国に「買い付け団」を派遣、来週にも
100億ドルを超える米国製品の購入を決める。
「報告」によると、06年の中国のモノ、金融、旅行などサービス取引の黒字を示す経常黒字は
前年比55%増の2499億ドル(約30兆円)に達した。モノの貿易黒字は同比62%増の2177
億ドル、サービス貿易は88億ドルの赤字だった。11日に発表された07年1~4月の貿易黒字
(通関ベース)は前年の2倍近い勢いで伸びている。
このため、中国政府は22日からワシントンで開かれる「米中戦略経済対話」を前に、中国企業
200社余りで構成する「買い付け団」を派遣。9日にはサンフランシスコでソフトウエアなど43億
ドル相当の輸入と1億ドル近くを投資して研究所を設立する契約を結んだ。買い付け団は、この
後、アトランタ、シカゴ、ワシントンと回る予定。
一方、日本の経常黒字も06年、19兆8488億円(確報値)と過去最高だった。だが、かつての
ように国内でモノを作り、たくさん輸出して外貨を稼いだためではない。製造業の生産拠点が
中国を始めとする海外へと移った結果、海外投資からの収益が伸びたことが主因だった。
日本企業の海外子会社からの配当収入や、日本の投資家の外国債券による運用収益を示す
所得収支の06年の黒字額は、13兆7457億円と4年連続で増え、02年の1.7倍にのぼる。
一方、貿易黒字は2年連続で減り、9兆4643億円にとどまった。
日本経済の構造変化を前提に、大和総研の原田泰チーフエコノミストは「日本の経常黒字が
今後、中国並みに大きく膨らむことはないだろう」とみる。そのうえで、「中国が『世界の工場』と
言われて久しいが、経常黒字世界一はそうした現状を象徴する出来事だ。中国の労働力には
まだまだ余裕があり、モノの生産は今後も伸びていく。経常黒字世界一の座は当面、揺るが
ないのではないか」と話した。
URLリンク(www.asahi.com)