07/04/30 12:01:28 jzMTDOVn
首相訪米、苦い教訓 慰安婦問題は意図伝わらず
【アブダビ=阿比留瑠比】安倍晋三首相の初訪米は、首脳同士の信頼関係を築いた点でひとまず
成功を収めた。ただ、懸案だった慰安婦問題では苦い教訓を残したようだ。
首相は、大統領との共同記者会見で、慰安婦問題についてこう語った。
「慰安婦の方々に、人間として、また首相として心から同情しているし、そういう状況に置かれて
いたことに対して申し訳ない思いだ」
「20世紀は、人権があらゆる地域で侵害もされた時代でもあった。21世紀を人権侵害のない
素晴らしい世紀としていきたい」
それに先立つ米議会幹部との会談でも、ほぼ同じことを述べ、訪米前の日本テレビや米CNN
テレビのインタビューでも同じ言い回しを使った。
首相の意図は明らかだ。重要なのは、慰安婦の境遇については率直に同情を示すことだった。
これまでの国会答弁などで「意に反して慰安婦とされた『広義の強制性』はあったが、官憲による
慰安婦狩りなどを示す『狭義の強制性』はなかった」と指摘し、官憲による強制連行はないと説明した
だけなのに、海外メディアから人権意識の欠如のように報道されたからだ。
慰安婦に同情する理由に関しては、日本政府・官憲の関与には言及せず、当時は慰安婦が置かれていた
「そういう状況」があったことを強調した。これは、戦時の人権侵害が、決して日本だけのものではない
ことを強く示唆し、相手に過去よりも未来に目を向けさせる狙いだった。これなら、狭義の強制性は
なかったという一線を譲ったことにもならない。
しかし、周到に準備したこのフレーズは目的通りの効果は生まなかった。訪米前から同じ言い方を
繰り返しているにもかかわらず、日本のメディアの多くは首相の意図に気付かないか無視し、
「米国で謝罪」と強調した。一方、慰安婦の強制連行を既成事実と決めつけてきた海外メディアには、
首相の微妙なニュアンスは伝わらなかった。
首相から直接、こうした説明を受けたブッシュ大統領さえ、共同会見で「(元慰安婦への)首相の
謝罪を私は受け入れる」とあっさり「謝罪」だと認定した。結果として「謝罪ばかり繰り返したとの
イメージを内外に与えた」(同行筋)ことは否定できない。
歴史問題で理解を得るためには、たとえ同盟国であっても、根気強い努力と工夫とが必要なことを、
改めて痛感させられた訪米となった。
URLリンク(www.sankei.co.jp)