07/04/29 19:43:47
単純には喜べぬ昭和
きょうのきょうになっても「天皇誕生日」や「みどりの日」と勘違いしている人はいない
だろうか。キツネにつままれたような感じだが2年前の国会で法案は成立している。
国民の祝日に関する法律はその意義を「国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日」
と定めている。今年から始まった「昭和の日」は何を祝い誰に感謝する日なのだろう。
まさか中国や朝鮮半島、東南アジアに侵略した20年間を礼賛する日ではないと思うが。
言論が弾圧され隣保班の名のもとに相互監視し、マルクスなど読んでいたら憲兵に
連行されるような悪夢が終戦まで続いた。軍服を着せられ、弾薬や食料もない海外に
送られ「人を殺せ」と命じられるのは62年前で終わりとしたい。
戦後は米国の軍事力に守られながら、軍国主義から経済至上主義へ転換した。朝鮮戦争や
東京五輪、大阪万博などを追い風に、世界第二位の経済大国へ駆け上がった。モノにあふれた
豊かさは誰しもが享受しているものの、心の豊かさを実感している人は少ない。
フリーター、ニート、引きこもり、ワーキングプア。いろんな名称で呼ばれる階層が生まれ
続けているが、餓死しない時代に生きている。とりあえず。だが耳をそばだてていると、
戦前を容認する発言が知識人や政治家に相次いでいる。
戦前の影と戦後の光ばかりが強調されがちだが、昭和はそう単純に解明できる時代ではない。
万歳万歳と喜んでばかりいると潮目を見逃してしまう気がする。昭和を描いた書籍や映画は
ちまたにあふれる。自らの昭和を考える日としたい。
ソース 宮崎日日新聞
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