07/04/29 13:47:00
北京近況見て歩き（２）韓国の台頭、圧倒的なパワー
北京空港には、初めて上海経由の東方航空機で降りた。Ａ３００機内の成田客は８割程度。上海
からは１０割に膨らんだ。この国の経済活況を物語っている。大声を張り上げる中国人の男女は、
いずれも中年らだ。台湾・香港・韓国の人たちは元気がいいが、経済急成長の大陸にもこれが伝染
しているのだろう。
上海までは退屈しなかった。隣席に横浜中華街で１５年、料理の腕を存分に振るっているという
５０歳の上海人男性が、片言の日本語を駆使して話しかけてくれたお陰である。年に一度のお墓参り
なのか。夫人と一人息子を横浜に置いての帰省だ。背広にネクタイの上品な服装だから、さながら
昔の日本人そのものである。
意外なことを教えてくれた。「上海の女性は優しい。声も小さい。北京や東北の人は大声を出す」
という。彼の説だと、機内の大声の犯人は北京人ということになるのだが。
北京空港では、まことに騒々しい一団に出会った。韓国人観光団である。観光局の範巨霊による
と、既に「日本人入国者よりも韓国人はそれを２０万人も上回っている」という。中国と韓国の友好
が中日をはるかに超えている何よりの証拠なのだ。双方に歴史認識のような問題はない。日本が岸
政治の後継者によって怪しげなアジア外交を展開していくと、確実にアジアどころか世界の孤児に
なってしまうだろう。
中国と南北朝鮮、ロシアの関係はいい。小泉内閣以降、日本はアジアの孤児になり、唯一ブッシ
ュの米国だけになってしまったが、その頼りの米国大統領も国民の支持を失って久しい。こうして
みると、政治指導者の偏狭な信念が国と国民を沈没させていることに、改めて気付かされるような
韓国人団体観光客である。
そういえば、数年前の北京で何度も「あなたは韓国人か」と市民から声をかけられた。２０年、
いや３０年前なら「あなたは日本人か」と聞かれるところである。日本の地盤沈下は計り知れない。
小泉元首相の靖国参拝は、韓国の立場を浮上させていたのである。小泉内閣による国益喪失は相当
なものだろう。
小泉参拝の直後に、北京の床屋に散髪を断られた時は仰天してしまった。筆者は中国に来ると、
必ず散髪する。値段が安いからだ。それでも、これまでのところ戸外での散髪は経験したことがな
い。少しばかり衛生面を考慮してのものだが、いつの日か体験してみたいものである。恐らく安い
料金だろう。今回も散歩中、住宅団地の空き地での散髪屋を目にした。近づいてみると電動式の
バリカンを使っていた。そばに小さな充電器が置かれていた。これも小さな近代化だ。大学構内の
床屋はいい。安心して椅子に腰掛けていられる。
ところで、いまや中国への留学は欧米で人気を集めているが、韓国人留学生が当の昔から人数で
圧倒している。中国語を話す韓国人が増えると、韓国でハングル文字と漢字を併用する時代が来る
かもしれない。中国が略字を止めて元に戻してくれると、中国・日本・台湾・香港・シンガポール
とそれに南北朝鮮と意思の疎通が容易になるだろう。
存外、２１世紀中には実現するかもしれない。（敬称略）（執筆者：本澤二郎）
本澤二郎（ほんざわ じろう）
政治評論家（ジャーナリスト）。
１９４２年千葉県生まれ、６６年中央大学法学部法律学科卒業。東京タイムズ政治部長８年９カ月
（在京政治部長会の最長記録）。同編集局次長を経て、９０年秋から政治評論活動に入る。９１－９４年
３月まで嘉悦女子短期大学講師。９７年４月から３年間二松学舎大学講師。０６年１０月から２年間、
中国・同済大学アジア太平洋センター顧問研究員。現在、日本記者クラブ会員、日中平和交流２１代表。
ソース 中国情報局ニュース
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