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【コラム】これ以上「人の顔をしたケダモノ」を放置するな
1985 年、米国の性犯罪者アール・シュライナーは10代の少女2人を誘拐して暴行した罪で、
10年間の刑期を終えたところだった。刑務所関係者は再犯の可能性が高いと見てシュライナーを
引き続き措置入院させることを要求したが、根拠があいまいだと却下され、シュライナーは釈放された。
2年後の1987年、シュライナーは米ワシントン州のある村で7歳の少年に性的暴行を加えた後、
性器を切断して殺害した。世論は大きな反応を見せた。犯人はシュライナーではなく、ワシントン州の
ふがいない司法制度だとの非難が噴出した。そして間もなく州知事や精神科医、市民の代表からなる
「社会保護特別委員会」が発足し、1992年にワシントン州は凶悪性犯罪者再犯防止法(SVP法)を制定した。
米国では性犯罪者に対し、懲役30年の実刑や場合によっては50年の懲役が下されることも少なくない。
このSVP法をさらに発展させたのが、性犯罪者の刑期が満了しても、再犯の可能性があると見なされる間
は引き続き拘束下に置いて精神科の治療や薬物投与を行うという制度だ。その後SVP法を採択する動きは、
ニューヨークやフロリダ、ニュージャージーなど17の州に拡大した。
SVP法と重い量刑のおかげか、米国では1992年から2003年の12年の間に児童に対する性犯罪が
なんと79%も減少した。それでもまだ満足するに足りないと判断したニューヨーク州は2005年6月に
性犯罪の常習者に対し、半径500メートル以内に学校や保育施設、公園がある地域に住むことを禁止
する法律を作った。フロリダ州は出所した性犯罪前科者について、一生のあいだ衛星利用測位システム
(GPS)で位置を確認できるようにする、いわゆる「電子腕輪制度」を導入した。
今年2月22日にソウル龍山のある小学校が「児童性犯罪追放の日」を宣言した。1年前に隣人の
靴小売店経営者キム某容疑者(53)の犠牲となったホ某さん(当時11歳)を追悼するとともに、性犯罪の
追放を求めたものだ。
当時ホさんを暴行しようとして騒がれたため凶器で殺害し、遺体を山林に運んで焼却したキム容疑者は、
犯行の2年前にも子どもに性的いたずらを行って逮捕され、執行猶予の状態にあった。キム容疑者は
性犯罪などで前科9犯だったが、周囲の人はその事実を知らなかったという。結局キム容疑者は釈放
されてから5カ月しかたたないうちに「人の顔をしたけだもの」としか言えない犯罪を起こした。
先日24日、40日以上にわたり延べ3万5000人の捜査員を動員して捜索が続けられていた済州島の
小学生失そう事件は、被害者のヤン・ジスンさん(9)のむごたらしい遺体が発見されたことで全容が
明らかになった。ヤンさんに性的暴行を加えた後、首を絞めて殺した犯人は、ヤンさんの自宅から120
メートル離れた場所に住むソン某容疑者(49)だった。ソン容疑者もまた、性犯罪を犯して7年間服役し、
2年前に出所した、23の前科を持つ人物だった。
ここ10年間に強姦事件は2倍、性暴力特別事件は4倍、「青少年の保護に関する法律」違反事件は
2000年の施行1年目に比べ2倍に増えている。その結果、昨年12月末現在、4041人が性暴力事件で
服役している。
米国のある研究機関が20年間追跡調査した結果、性暴力犯の再犯率は36%とほかの犯罪よりも非常に
高いことが分かった。それにもかかわらず、韓国の裁判所はこれまで性犯罪者にあまりにも寛大だった。
児童に対する性犯罪によって懲役刑を受けたのは、全体の18.9%に過ぎない。81%は罰金刑(35.4%)や
施行猶予付きの判決(45.6%)を受けて、釈放されている。しかも2005年の社会保護法の廃止以来、刑期を
終えた性犯罪前科者たちが何の制限もなく、次々と社会に復帰している。
こうした状態では安心して生活することができない。これ以上、われわれの大切な子どもたちの周囲に
「人間の顔をしたケダモノたち」をうろつかせるわけにはいかない。いつ第2、第3のホさんがけだものの犠牲
になるかもしれない状況を、このまま放っていてよいはずがない。
韓国政府や国会、裁判所のお偉方たちは、こうした状況についてどう考えているのか、聞いてみたいものだ。
社会部=李恒洙(イ・ハンス)法曹チーム長
朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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