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慰安婦強制示す調書、東京裁判に各国検察提出
日本軍慰安婦問題をめぐり、東京裁判に提出された各国検察団の証拠資料の中から、
占領支配したアジアの女性が日本軍に強制的に慰安婦にされたことを示す尋問調書などを、
林博史・関東学院大教授(現代史)が確認した。17日に日本外国特派員協会で会見して
公表する。裁判で証拠として採用されたもので、東大社会科学研究所図書館に所蔵されている。
東京裁判には、日本軍によるアジア各地での住民・捕虜殺害など具体的な残虐行為を
立証するために膨大な証拠資料が提出された。今回、林教授が確認したのは、オランダや
フランス、中国など各国の検察団が提出した調書や陳述書など。
インドネシアで、ジャワ島やモア島、カリマンタン(ボルネオ島)で女性たちが強制的に慰安婦に
されたことを示す証拠資料が提出されたことが判明したほか、アジア各地で同様のケースが
あった。これまで、国立国会図書館所蔵の東京裁判関係資料から尋問調書の一部が
確認されていた。
オランダが提出した、ボルネオ島で海軍の情報機関にいた男性軍属に対する46年3月13日付の
尋問調書。日本人と親しくしていた地元女性が日本軍に拘束され、警備隊長に平手打ちをされ、
裸で立たされる状況に触れて、取調官が追及する。
彼女たちを拘束した理由について、男性軍属はこう答えた。「抑留したのは彼らを
淫売(いんばい)屋に入れることができるための口実を設けるために警備隊長の命令で
なされたのであります」
46年5月16日付の尋問調書では、ジャワ島の民間抑留者の収容所にいたオランダ人女性が
強制的に慰安婦にされたことを証言している。
44年1月28日、インドネシア人警察官が彼女を含め計7人の女性や少女を
日本軍捕虜収容所事務所に連れていき、日本人に引き渡した。さらに車で小さな収容所に
運ばれた。同年2月3日に医師による健康診断を受けた際、日本人向けの「娼楼(しょうろう)
(brothel)」で働かされることを知ったという。
「労働日には娼楼は日本将校のために、日曜日午後は日本下士官のために開かれ、
日曜日の午前は兵卒等のために保留された。時々一般の日本人が来た。私は常に拒絶したが
無駄だった」
フランスが提出したベトナム人女性の口述書の抜粋には「日本人はフランス兵と一緒に
生活していた私の同国人数人に、光安に設けた慰安所(brothel)へ一緒へ行くよう
強制しました」とある。
中国の「軍事委員会行政院」が46年5月27日付で作成した資料は日本軍の桂林での
残虐行為に言及、「四方より女工を招致し、麗澤門外に連れ行き脅迫して、妓女(ぎじょ)として
獣の如(ごと)き軍隊の淫楽(いんらく)に供した」と記す。東京裁判の判決も桂林の残虐行為に
触れた中で、「工場を設立するという口実で、かれら(日本軍)は女工を募集した。
こうして募集された婦女子に、日本軍隊のために醜業を強制した」と認定している。
一連の資料について林教授は「これらは各国が作成した公文書であり、判決でも
強制したことが事実認定されている。サンフランシスコ平和条約で戦犯裁判を受諾した日本には、
これらの文書の意味は無視できないだろう」と話している。
朝日新聞 URLリンク(www.asahi.com)
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