07/04/09 18:22:31
・戦後の憲法解釈上の大転換
安倍晋三首相は、憲法九条の解釈上これまで政府が禁じてきた集団的自衛権の行使を
一部容認する方向で見直す方針を固めた。
昨年九月、首相就任後の所信表明演説で「いかなる場合が集団的自衛権の行使に該当
するか、個別的な類型に即して研究する」と表明。現憲法下での集団的自衛権の行使に
ついては「私の内閣の間に結論を出す」とも述べてきた。今回の見直しは、具体的にその
第一歩を踏み出したといえる。
見直しの内容は、
(1)日本のミサイル防衛(MD)で同盟国を狙った弾道ミサイルの撃破
(2)公海上で自衛隊艦船と並走する艦船が攻撃された場合の反撃
(3)一つの目的で活動する多国籍軍で他国軍が攻撃された場合の反撃
(4)国連平和維持活動(PKO)で任務遂行への妨害を排除するための武器使用
―の四つの具体例について、今月中に有識者会議を立ち上げ検討するという。
自衛隊に海外で「反撃」や「武器使用」が許されることになれば、戦後六十年間、一度も
改正されなかった「平和憲法」の根幹部分(九条)が完全に見直されることになりかねない。
これは、「(集団的自衛権行使の)一部容認」どころか、専守防衛の枠を取り払い、同盟国・
米国の戦争に日本が参加するという憲法解釈上の大転換を意味する。
戦争放棄、戦力不保持を掲げた憲法九条をほごにし、日本国家の「交戦権」を復活させる
ことにほかならない。
夏の参院選の争点になることも予想され、日本が今後、どういう国家として歩むのか、
国民の選択が問われることになる。
先月三十日、弾道ミサイルを迎撃する航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が
埼玉県の入間基地に配備され、日本のミサイル防衛(MD)がスタートした。
昨年七月の北朝鮮によるミサイル連射などを受け、国内では昨年十月に先陣を切って
米軍嘉手納基地にPAC3が配備された。
政府はMD体制の構築を急いでおり、PAC3の他の自衛隊基地への追加配備に加え、
年内にはイージス艦一隻に初めて海上配備型迎撃ミサイル(SM3)も搭載する。
・米軍と自衛隊の一体化で加速
米軍と自衛隊によるミサイル迎撃が実際に可能となったわけである。
在日米軍司令部のある東京・横田基地に自衛隊の航空総隊司令部を併置し「日米共同統合作戦
センター」を運用する計画も進められている。
だが、効果的な運用には米軍と自衛隊の一体化が不可欠とされ、いよいよ集団的自衛権の行使を
禁じる憲法九条との両立が困難になりつつある。
今年一月、防衛庁が「省」に昇格し、自衛隊の海外派遣が本来任務となった。海外活動で米軍と
自衛隊の一体化がより進めば、集団的自衛権の行使と武器使用の議論はますます避けられず、
集団的自衛権の行使に突き進むことが十分予想される。(続く)
ソース:沖縄タイムス
URLリンク(www.okinawatimes.co.jp)