07/04/09 12:46:23
中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は10日、韓国と日本への訪問に出発する。韓国では盧武鉉
(ノ・ムヒョン)大統領と会談し、朝鮮半島情勢などについて意見を交わす見通しだ。ただ、過去の中
国首脳の日本訪問では、その直前の韓国訪問が日本の歴史認識問題に微妙な影響を与えてきた
経緯がある。今回の訪問で、温首相がどのような対応をとるかが注目される。
中国首脳の訪韓は05年の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席以来。温首相は10日に盧大統領と会
談し、国交正常化15周年を迎えた中韓関係の強化を訴える見通しだ。11日から日本に移り、日中
首脳会談などに臨む。
外交筋によると、今回の中韓首脳会談で日本の歴史認識問題は直接の議題に上がっていない。
ただ、韓国側は安倍首相の従軍慰安婦問題での発言に反発しており、話題が及ぶ可能性は否定で
きないという。中国首脳のこれまでの訪日では、直前の外交的な動きが歴史問題を複雑にしてきた。
95年、大阪でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)参加のため訪日した江沢民(チアン・ツォーミ
ン)国家主席は直前に韓国を訪問。日本の歴史認識を強く批判していた金泳三(キム・ヨンサム)大統
領と歩調を合わせ、この問題を軸に中韓関係を強化する姿勢を示した。訪日後の江主席は声高な批
判を控えたが、厳しい対日歴史観を印象づけた。
98年の江主席の訪日も波乱含みだった。1カ月前の金大中(キム・デジュン)大統領の訪日で日韓
共同宣言に過去への「おわび」が盛り込まれながら、日中共同宣言にはこの文言が入らなかったこ
とに江主席が反発。日本滞在中の歴史認識を問う厳しい発言につながったとされる。
一方、00年の朱鎔基(チュー・ロンチー)首相は韓国の前に日本を訪問。歴史認識で踏み込んだ発
言をしなかった。
■対日、本音は「安定」
日本の歴史認識問題をめぐっては、中韓の対日世論が互いに強く意識し合ってきた。中国の対日関
係者は「我々は『なぜ韓国のように日本に強い態度に出ることができないのか』との国内での圧力を
常に受けている」ともらす。3月下旬、慰安婦問題に反発し、韓国が日韓外相会談をソウルではなく
済州島で開くと伝えられた際、中国のネット上には「中国外交は日本に弱い」と書き込まれた。
安定した日中関係を求める中国政府は安倍政権との間で歴史問題に再び火を付けたくはないという
のが本音。ただ、今秋には指導部人事が予定される共産党大会がある。温首相にとっては対日関係
で軟弱な姿勢を示すわけにはいかない時期であることも事実だ。
日本の外交筋は、温首相の訪韓について「過去の例とは状況も違うし、単純比較はできない」と指摘し
つつ、「歴史認識問題が日中韓の微妙な関係を反映していることは確かだ」と語った。
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