07/04/06 09:49:40
[憲法世論調査]「『改正』へ小休止は許されない」
憲法改正に意欲を示す安倍首相に対し、身構える民主党―その対決構図が
国民の憲法観にも影響を与えている。
読売新聞の3月世論調査で、憲法を「改正する方がよい」という改正派は46%で、
非改正派の39%を上回った。この改正派優位は、15年間にわたって変わって
いない。
ただ、今年は改正派が昨年比9ポイント減った。3年連続のダウンだ。
2005年10月、自民党は新憲法草案を決定した。その直後、民主党も「憲法提言」
をまとめている。憲法改正の手続きを定める国民投票法案も、両党は昨年12月、
大筋で合意にこぎつけた。
安倍首相は、憲法改正を政治日程にのせる決断をし、今夏の参院選の争点に据える
考えを示している。この一連の動きは、憲法改正の論議を加速させ、改正派の増加を
もたらしていい。
ところが、そうはなっていない。
今回、各年代、各政党支持層で憲法改正派が減少した。特に民主支持層では、改正派
が昨年比17ポイント減って41%に落ちている。過去、民主支持層は一貫して改正派が
過半数を占めていた。
民主党の小沢代表は、間近に迫った夏の参院選への政略的な思惑から自民党との
対決姿勢を強めている。与党の国民投票法案に反対しているのも、参院選での社民党
などとの選挙協力を優先する狙いからだろう。
小沢代表はもともと改憲論者だ。党内には「護憲」を唱える旧社会党系の議員がいる。
憲法問題で具体論に踏み込むと亀裂を生みかねない。それを避けるための改憲からの
「逃避」姿勢が、支持層に跳ね返っているのかもしれない。
一方、改憲の旗を掲げる安倍自民党にももろさがみえる。今回、自民支持層の改正派が
昨年比10ポイントも減った。
安倍内閣を「支持する」と答えた人の34%が、改正に反対している。
首相は、国民に無用の不安を抱かせないためにも、憲法をどう変えたいのか、その具体的
内容と手順を示し、自ら説得に努める必要がある。
イラク情勢の混迷、北朝鮮による核実験強行、中国の軍拡など、日本と国際社会の安全
保障環境は悪化するばかりだ。これらは、憲法の安保条項の整備などを日本の政治に
突きつけている。
1990年の湾岸危機での対応遅れを教訓にして92年、国連平和維持活動(PKO)協力法が
成立し、これを機に国民の憲法意識は劇的に変わった。
今日の国内外の情勢を踏まえれば、憲法改正作業は、休まず、たゆまず進めなければ
ならない時代の課題だ。
ソース:読売新聞
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