07/04/05 18:27:31
3日午後(現地時間)、米国自動車産業のメッカと呼ばれるミシガン州デトロイト市。
天気は寒く、雰囲気も沈んでいる。 ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、クライスラーの自
動車ビッグ3が衰勢に向かっているうえ、韓米自由貿易協定(FTA)による衝撃波が小さくない
と予想されるからだ。 昨年「ビッグ3」の赤字額は160億ドルに達した。
都心を流れる河川沿いにガラス張りの超現代式ビル「ルネサンスセンター」がある。
世界最大の自動車メーカー、GMの本社だ。 ビルは堂々たる姿を見せているが、経営陣の悩
みは深い。 会社の格付けがジャンクボンド(投資リスクが非常に大きい債券)に落ちてから2年、
しかし状況が好転する兆しは見えない。 すなわち自動車が売れないのだ。 GMは来年まで12
工場を閉鎖し、3万人のリストラを進めているところだ。
ここから車で10分ほどの距離にあるクライスラー工場も事情は同じ。
街で会った40歳代のクライスラー職員は「数年前からリストラが加速しているが、展望は明る
くない」とし「韓米FTAも米国市場でさえ低調なビッグ3にとって助けにならない」と語った。
彼は「米現地工場を運営するトヨタ・ホンダ・日産などが‘米国産日本車’の韓国輸出で利益を得
るはず」とし、「日本車の攻勢のため韓国の現代(ヒョンデ)自動車も楽観はできないだろう」と語
った。
振り返ると、「UAW」と鮮明に書かれた5階建てのビルが目に入る。
都心のジェファーソン街8000番地にある「全米自動車労組」(United Auto Workers)の本部だ。
米全域50万人の組合員を率いて現在でも強大な力を発揮しているところだ。 引退した労働者の
医療保険料も会社側に負担させることにしたのが代表的な「業績」だ。
韓米FTAが妥結した直後、ロン・ゲッテルフィンガーUAW委員長は非難を込めた声明を出した。
彼は米議会を狙って「韓国に一方的に有利なFTAを拒否すべきだ」と声を高めた。 ゲッテルフィン
ガー委員長は「今回のFTAでは交渉の基本原則である相互主義が無視された」とし「今後、韓国産
乗用車とピックアップトラックの米国進出はさらに増えるだろうが、米国車の輸出を促進する内容は
ほとんどない」と主張した。
GMはGM大宇(デウ)の親企業という点を意識してか、両国間FTAについて「まだ立場が決まって
いない」と留保する態度をとっている。 フォードは批判的だ。 ビーガン副社長は「FTAの結果に非常
に失望した」という声明書を発表した。 また「今回のFTAで韓国市場は開かれないだろう。 米議会は
今回の協定を批准してはならない」と述べた。
◆貧民街に墜落した自動車都市=UAWの力はまだ強いが、周辺の風景はその反対だ。 都心の四方
10キロ以内は、あちこちに放置された廃家と空き地が目立ち、スラム化が進む。 自動車工場で解雇が
続き、労働者とその家族がこの都市を離れたからだ。 1950年代に一時180万人を超えた人口が現
在では80万人に減っている。
GM組立工場付近のグランディ街にも、窓ガラスが割れて壁が黒ずんだ数件の家が寂しく並んでいる。
ここで42年間暮らしているという黒人女性のシンシアさんは「以前は活気に満ちて美しかったこの街
が今では寂しいスラム街に変わった」と話した。 家を買おうという人がいないため、住宅の価格は大き
く落ちた。 寝室4つの一戸建て住宅が2万ドル(約240万円)で買えるほどだ。 「デトロイトでは車より
も安い家が多い」という言葉も嘘ではない。
デトロイトの没落は米国自動車産業の衰退とともに始まった。 「おもちゃ」と冷やかされた日本車が
1970年代のオイルショックを契機に米国消費者をつかんだ。 ブランドパワーを前面に出したドイツの
ベンツとBMWは80年代以降、高級車市場でGMのキャディラックやフォードのリンカーンを追いやっ
た。 こうした危機の中でもビッグ3はリストラを怠った。 その結果、いま会社は窮地に追い込まれ、都
市は没落している。 映画「ロボコップ」では犯罪がはびこる都市として、「8マイル」では代表的な貧民
居住地として描写されたりもした。
URLリンク(japanese.joins.com)