07/04/04 21:44:49
盧大統領を見直した日
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領はこれまでも、同じ人物のものとは思えないほど、時としていつもとは
まったく異なる言動を行うことがあった。盧大統領の過去の発言を振り返ってみると、そうした例を
いくつも発見することができる。ある時は頑固に名分や原則にこだわったかと思えば、またある時には
「損得を見極めた、商売人の考え方」を強調する。また和解や団結を口にする一方で、
政敵や批判的なメディアに対しては敵意を込めた激しい発言をはばからない。
米国に対する態度もまた同じだ。盧大統領は大統領候補時代、「反米で悪いか」と発言した人物だ。
しかし就任から1年目にして米国を訪問した際には、「(韓国戦争〔朝鮮戦争〕の時に)米国が韓国を
助けていなければ、わたしは今ごろ政治犯収容所にいたかもしれない」と語った。
盧大統領の支持者たちですら面食らうほどの、変わり身の激しさだった。
盧大統領が1年以上もの歳月をかけて強行に推し進め、交渉妥結にまでこぎ着けた
韓米自由貿易協定(FTA)もまた、そうした例の一つとして上げられる。自らの本来の支持層が
強烈な拒否反応を示すことが火を見るよりも明らかな状況で、誰に言われたわけでもないのに、
率先して取り組んできた。そのため「いったいどういう考えなのか」という疑問の声が上がったのも、
当然の状況だった。
あまりに理解しがたい状況のため、一時は何らかの裏があるという説が何通りも登場した。
例えば、韓米FTAを今年末の大統領選挙における「左派集結」のダシに使おうという魂胆ではないか、
という主張がまことしやかにささやかれてきたものだ。いずれにせよFTA交渉で韓米両国が
合意を見るのは難しいだけに、交渉過程で反米感情をあおれるだけあおり、前回の大統領選挙の
時のように、それを左傾化の起爆剤にしようとしているのではないかという見方だった。
次期大統領選に向け、野党ハンナラ党の候補者たちの圧倒的な優位が予想され、旧与党系に
これといった対抗馬が見あたらないという状況の中、政界でも多くの人がこうした見方に説得力を
感じていたものだ。しかし韓米FTA交渉が妥結したことで、そうした「陰謀説」は根拠を失った。
盧大統領は韓米FTAを推進する上で、「商売人の論理」を強調してきた。交渉妥結の直後に行った
演説でも、「韓国経済の未来と中国をはじめとする世界市場の変化を視野に入れ、商売人の
考え方に立って交渉に臨んできた」と説明した。さらに「FTAは政治的な問題でも、理念的な
問題でもない。われわれの生活にかかわる問題だ」とした上で、損得を見極めた商売人の感覚で
アプローチすべきだと主張した。これは、過去4年間にわたり盧大統領が「われわれの生活に
かかわる問題」について見せてきた態度とは大違いだ。
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