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【社説検証】慰安婦問題 産読と朝毎の主張対立、河野談話見直しめぐり
04/02 13:32
慰安婦問題をめぐる米下院の対日批判決議案の行方が注目されている。大戦中に日本の軍隊が若い女性を
強制的に“性的奴隷”として連行したとの認識に基づき、国家としての公式謝罪を要求する内容である。
この決議案は米民主党の日系議員マイク・ホンダ氏が中心となり1月末に提出された。同種の決議案は
過去にも何度か委員会採決にかけられているが、本会議まで上程された例はなく、日本政府も基本的に
静観の構えを取ってきた経緯がある。
ところが、今回は安倍晋三首相が国会答弁などで「客観的事実に基づいていない」「決議があっても謝罪
しない」と持論を展開して反論したことから、従来と様相を異にする展開となっている。リベラル系米紙を
火付け役に欧米メディアが「事実を歪曲(わいきょく)する試みは国家の品位を損ねる」「首相の二枚舌」
などと安倍批判記事を相次ぎ掲げ、議論の火の手が拡大した。
批判の論拠は、日本は平成5年の河野洋平官房長官談話で慰安婦に対する旧日本軍の関与を政府として
認めたにもかかわらず、今になって否定するのはおかしい-とする点で共通している。24日付の
米紙ワシントン・ポストのように、慰安婦問題を北朝鮮の拉致問題と同列視する論調まで出ている。
この問題は、朝日、毎日、読売、産経の全国紙4紙が、法案の委員会提出が明らかになった
2月から3月にかけ、相次いで社説で取り上げた。
口火を切ったのは産経で、決議案提出が明らかになった2月21日付で、「政府は決議案の内容の不当さを
内外に示し、事実をもって徹底的に反論すべきである」と政府の毅然(きぜん)たる態度を求めた。
河野談話に関しても、「意図的に拡大解釈されるのを防ぐためにも、事実関係の再調査と適切な見直しを
改めて求めたい」と注文をつけた。
米紙の批判報道が出始めた3月7日付では「このままでは、決議案の成立、不成立にかかわらず、
日本のイメージに傷がつく。旧日本軍、日本人の名誉が不当に損なわれかねない」と警鐘を鳴らした。
10日付でも、「論点は慰安婦問題で国家の強制連行があったのか、あるいは身売りの娘に業者が介在した
のかである」と指摘し、「歴史事実の誤認や誇張をそのまま放置すると、偽史が独り歩きし後世に禍根を
残す」と主張した。
読売も7日付で「問題の核心は、官憲による『強制連行』があったかどうかだ」と産経と歩調を合わせ、
「曲解に満ちた決議案である以上、政府は事実を正確に説明して、採択を阻止しなければならない」と
断じた。河野談話についても「不正確な談話を見直すのは当然」とし、談話発表の背景に「韓国側の圧力を
前に『強制連行』さえ認めれば問題を決着できるとみた甘さがあった」と指摘して「政府は米下院決議を
めぐり、再び、外交上の失策を繰り返してはならない」とくぎを刺した。
これに対し朝日は、6日付で「全体として強制性を認めるべき実態があったことは明らかだろう」と決議案の
基本認識に理解を示すとともに、安倍首相の反論についても「細かな定義や区別にことさらこだわるのは、
日本を代表する立場の首相として潔い態度とは言えない」「政権として方針を決めた以上、要らぬ誤解を招く
発言は避けるべきだ」と批判した。
さらに10日付では、「強制連行」の有無という事実関係が重要だとする産経、読売に対し、「議論の立て方
そのものが、問題の本質から目をそらそうとしていないか」と反論した。河野談話も「潔い態度だった」と
評価し、「民族や女性の人権問題ととらえ、自らの歴史に向き合う。それこそが品格ある国家の姿ではない
か」「日本は北朝鮮による拉致を人権侵害と国際社会に訴えている。その一方で、自らの過去の人権侵害に
目をふさいでいては説得力も乏しくなろう」と主張、28日付でも「首相は、慰安婦問題についての考えを
もっと丁寧に語るべきだ」と述べた。
毎日も8日付で河野談話の見直し論を「せっかく改善された近隣外交には大いにマイナス」と批判した。
また、海外メディアの安倍批判報道にも「小泉純一郎前首相の靖国神社参拝に続く日本の右傾化の流れと
見られかねない」と危機感を募らせ、「不健全なナショナリズムをあおる行為は厳に慎まなくてはならない」
と注文をつけた。
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