07/04/01 20:01:35
■日本の教科書、歴史修正の動きを反映 By NORIMITSU ONISHI
第二次大戦の歴史を修正する動きを日本が加速させていることを示す兆候が、また一つ
明らかになった。新しい高校教科書は、沖縄での大惨事に対する日本軍の責任をもはや
認めない、と日本政府が先週金曜日に発表したのだ。
日本の文部科学省は各出版社に命じて、戦争末期の沖縄戦で日本軍が民間人に集団
自決を命じたという記述を削除させた。この決定は、すべての学校で使われる教科書に
対する文科省の年次検定の一環として行なわれたものだ。他のデリケートな問題に関す
る文科省の修正命令も、政府の主張に沿った記述にさせるものだった。教科書検定は政
治からの干渉を受けないものとされているにもかかわらず、である。安倍首相は「教科書
検定制度は適切に運営されていると考える」とコメントしたが、安倍首相こそ、日本の戦
時中の行為に関する教科書の記述を弱めるよう長年にわたりキャンペーンをしてきた人
物なのだ。
沖縄戦の記述に関する今回の決定は、驚きをもって受け止められた。文科省がこの記述
に異議を唱えたことは、これまで一度も無かったからである。今回の決定は、戦時中に軍
が女性を強制的にセックス奴隷にした事実はないという安倍発言に続くものだ。
今回の教科書検定の結果を、中国・韓国などアジア諸国は注視している。このため、沖
縄戦やセックス奴隷化における軍の責任--これまで永く史実として受け入れられてい
た--を今回新たに否定したことは、日本政府が軍事力強化と軌を一にして軍国主義
過去の隠蔽を試みているとのアジア諸国の懸念を深めることになりそうだ。<中略>
沖縄戦は日本本土における唯一の地上戦であり、多くの民間人が巻き添えとなったが、
沖縄は単なる日本の一部ではなかった。日本が琉球王国を公式に併合したのは、よう
やく19世紀後半になってからだ。沖縄は今日まで独自の文化を保持しており、大戦中も
多くの沖縄の人々は本土とは異なる方言を話していた。
大戦中、沖縄の人たちに対する日本軍の扱いは野蛮なものだった。沖縄県立平和祈念
資料館は戦争の歴史を記述する中で、沖縄を日米の戦いの巻き添えだったと描いてい
る。これは、日本は西洋列強からアジアを解放する解放者だったという靖国神社の戦争
博物館の見方とは、大きく異なるものだ。<中略>
文科省の新たな立場は、セックス奴隷問題に関する安倍首相の否定発言と同様のよう
だ。すなわち、強制があったという圧倒的な証拠、とりわけ犠牲者や生存者自身の証言
を、低く評価するというものである。これに対して沖縄の二大紙の一つである琉球新報は、
「多くの沖縄県民が、自殺するよう日本軍に命令されたと証言している」と怒りの社説を
掲載した。「日本兵から手榴弾を渡されたと証言する人もいる」と社説は言う。これで自
決しろ、というわけだ。同紙の社説は文科省の変化を、「政府の見解に沿って」政治的
影響の下に行なわれたものだ、とした。
安倍首相は、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の設立(1997年)を支援
して以来、「戦後の日本から誇りを奪った自虐史観」と民族主義者らが呼ぶものを退け
るキャンペーンを長年にわたり率いてきた人物なのである。<後略>
▽ソース:ニューヨーク・タイムズ(英語)
<Japan’s Textbooks Reflect Revised History>
URLリンク(www.nytimes.com)
▽関連スレ:
【慰安婦】 慰安婦、教科書、捕鯨など米有力紙ニューヨーク・タイムズが連日の日本批判~東京駐在記者が執筆記事 [04/01]
スレリンク(news4plus板)l50