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【緯度経度】対米不信招く慰安婦問題
「慰安婦」問題が日米両国間でなお波紋を広げている。現在の日本の政府や国民が60
余年前の出来事を理由に突然、被告とされ、米国の議員やマスコミの一部が検事と裁判官
とを兼ねて、断罪する。だがその罪状がはっきりしない。慰安婦という存在よりも、慰安
婦について米側が求めるのとは異なる見地からいま語ることを悪とする言語裁判のような
のだ。その背後で日本側では日米同盟を最も強く支持してきた層の対米不信が広がりそう
である。
いま慰安婦問題が論議を招くことのそもそもの原因は日本側にはまったくない。慰安婦
について日本側で最近、新たになにかがなされ、語られたということはない。ひとえに米
国議会下院に1月末、慰安婦問題で日本を糾弾する決議案が民主党マイク・ホンダ議員ら
によって出され、2月15日にその決議案を審議する公聴会が開かれたことが発端だった。
同決議案は「若い女性を日本帝国軍隊が強制的に性的奴隷化した」と明記して、日本軍
が組織的、政策的に女性を強制徴用していたと断じ、日本政府がその「歴史的な責任を公
式に認め、謝罪すべき」だと求めていた。
この時点では米国のマスコミも識者、研究者もこの決議案も慰安婦問題も論じたり、報
じたりすることはなかった。ところが3月1日、安倍晋三首相が東京で記者団に同決議案
にどう対応するのかと質問され、一定の発言をしたことから米側での反響がどっと広がっ
た。安倍首相は軍による組織的な女性の強制徴用の証拠はないことを強調し、その点で河
野談話には欠陥があることを指摘しただけだった。
だがこの安倍発言は「安倍は戦争セックスに関する日本の記録を排除する」(ニュー
ヨーク・タイムズ)として安倍首相が軍の関与をもすべて否定したかのように米側では報
じられた。米側ではここから慰安婦問題はすっかり「安倍たたき」の形をとって、輪を広
げた。このプロセスでは肝心の慰安婦決議案に対しての米側のマスコミや識者たちの態度
は支離滅裂であることを印象づけた。
(>>2以降へつづく)
(2007/03/31 08:56)
産経新聞
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