07/03/10 23:39:15
大統領府は韓悳洙(ハン・ドクス)元経済副首相を韓明淑(ハン・ミョンスク)前首相の
後任に指名すると発表した。大統領府は首相任命の理由として、目下最大の懸案と
なっている韓米自由貿易協定(FTA)の交渉問題に精通していることを挙げた。
韓氏は経済副首相だった当時からFTA問題に深くかかわっていた人物だ。
現在、FTAをめぐる韓米両国の交渉は最後の段階に差し掛かっている。米議会が
通商交渉の権限を政府に委任する形で設定されたTPA(貿易促進権限)も、米議会
への最終協議案の報告期限が4月2日に迫っている。その時までに韓米両国が意見
の相違点を克服し、交渉の妥結にこぎ着けた場合、今度は協定批准について両国
の国会で同意を得るための作業に移る。
両国の国会から同意を得るのも、協議案の妥結までの道のりに劣らず難関となる。
韓国の状況も楽観できないが、米国では議会で保護貿易主義に傾いた民主党が
多数派となっており、協定批准への同意を引き出すのは決して容易ではない。韓氏の
首相就任には国会の承認が必要となるが、そこでの攻防こそ後に韓米FTA最終協議案
への批准同意を得るための前哨戦となることだろう。
かつて大統領の最側近だった人々は今や反FTAの先鋒(せんぽう)に立っており、
「心情的には今も与党」だというヨルリン・ウリ党の議員たちも、ことあるごとに韓米FTA
を妨害しようとしている。今後は次期大統領候補の中からも、反FTA勢力に便乗しよう
という人たちが出てくることだろう。
韓国は貿易が国内総生産(GDP)に占める割合が70%にもなり、サービス産業が
占める割合も60%に及ぶ。そのため貿易やサービス産業の競争力を高めなければ
未来はない。そんな韓国が「開放」を通じた競争力向上の機会を拒むなら、それは
国の発展をあきらめるという態度に等しい。
韓氏は経済副首相だった当時、「積極的に開放政策を取った国と、閉鎖的な政策を
取った国とでは、成長率に5倍もの差が生じた」と語った。「数十億年に及ぶ地球の
歴史をひもといてみると、大きくて力が強い生命体より変化によく適応した生命体が
生き残ってきたことがわかる」という発言もあった。
韓氏は今後、反FTA勢力が引き起こす向かい風に立ち向かっていかなければなら
ない。そして今回の任命承認聴聞会がその最初の関門となる。今大韓民国の首相に
必要とされるのは、逆風に立ち向かっていけるだけの信念と勇気だ。韓氏は昨年
経済副首相を辞任する際、「ウサギは1坪の草むらでも満足するかもしれないが、
ライオンには広い草原が必要だ。韓国経済も今や広い野原に出て行くときが来た」と
語った。今大韓民国はその広い野原の入り口に立ち、韓次期首相候補を先頭に、
一気に打って出ようとしている。
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