07/02/24 05:41:51
陳政権、公営企業名から「中国」抹消 総統選へ「台湾」強調
【台北=長谷川周人】台湾の陳水扁政権は、公営企業名から「中国」や「中華」の文字
を外し、「台湾」に置き換える「正名(名前を正す)政策」を加速している。対中融和に
動く最大野党・中国国民党を牽制し、次期総統戦に向け、台湾化路線を推し進めることで、
求心力の回復を狙っている。1947年に国民党軍が台湾住民を弾圧した「二・二八事件」
が今月末に60周年を迎えることから、「正名」の意義を強調することで「台湾人意識」
に訴える考えのようだ。
陳政権は昨年、首都空港として機能する台北県の「中正国際空港」を「台湾桃園国際空
港」と改名したが、これに続き今月上旬、造船大手「中国造船」と石油大手「中国石油」
をそれぞれ「台湾国際造船」「台湾中油」と変更。中旬に入ると郵政事業を独占する「中
華郵政」を「台湾郵政」と改めさせた。
提案からわずか1カ月足らずで「脱中国化」を一気に進めた陳政権に対し、米国務省の
マコーマック報道官は「名称変更を支持しない」とくぎを刺し、「現状の一方的変更」が
両岸関係に与える影響を懸念する米国の立場を表明した。
だが、内政の立て直しが急務の陳総統は「(正名は)主体性の堅持を支持する民意の主
流と合致する」と主張する。
これと連動する形で与党・民主進歩党は、国民党による独裁政権を率いた故蒋介石総統
の色彩を排除するキャンペーンを始めた。(1)「中正紀念堂」など蒋氏の名に絡む道路・
施設の改名(2)通貨の肖像変更(3)蒋氏の遺体が仮安置される「蒋介石御陵」からの
衛兵撤退(4)軍施設からの銅像撤去-を関係当局に求めている。
蒋氏の遺族や国民党は猛反発しているが、独立派の間にも「なぜ今まで放置したのか。
あまりに遅すぎた正義だ」と不満がくすぶる。
ただ、「中華航空」や「中華電信」など、国際問題が絡んで、域内処理が難しい企業の
「正名」は先送りされたままで、政権内からは「目指すべき国号変更に踏み込めない現状
では、近視眼的な選挙活動と見なされても仕方がない」とのいらだちも聞こえてくる。
(2007/02/23 23:33)
産経新聞
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