07/02/19 19:36:55
反骨の名文記者として知られた門田(かどた)勲は、食べ物の記事を好んで書いた。
ある時、竿(さお)釣りのカツオは身が締まってうまいと食通から聞き、
繊細な舌に感心しつつ、考えた。
最高の食材が常に手に入るわけではあるまい。
ならば鋭い味覚の持ち主は、味を楽しむより不満を感じる方が多くはないだろうか。
そして、「幸せは適度な鈍感にあり」と45年前の週刊朝日に書いた。
松岡利勝農水相の味覚は、鈍感ではないのだろう。
外遊して、日本料理とはかけ離れた「日本料理」を出す店が多いのを憂えたそうだ。
正しい和食を広めようと、海外の店に政府がお墨付きを与える制度づくりに乗り出した。
所変われば食文化も変わるものだが、面妖なニホン料理は見過ごせないらしい。
そんなことに国費を使うのか、政府のする仕事か、という声が与党からも出た。
だが2億7千万円の予算が付き、07年度からの実施に向けて準備が進む。
欧米のメディアは、日本から「スシ・ポリス」がやって来ると警戒のまなざしを向けている。
海外の和食店はざっと2万4千、うち日本人料理人のいる店は1割という。
「正しい和食」は大切だろう。だがここは力まずに、「よき鈍感さ」で、
世界各地に芽吹いた和食文化を見守ってはどうか。
ところで門田は、ある蒲焼(かばや)きの老舗(しにせ)で、いかに上物のウナギか、
いかに丹精込めて焼くかと、さんざん能書きを聞かされた。
げんなりしてしまい、「いい加減なやつを気楽に食べさせてほしい」と書き残している。
洋の東西を問わない、気取らぬ庶民の思いでもあろう。
朝日新聞・天声人語 2007年02月18日(日曜日)付
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