07/02/19 09:11:52
韓国の「ピョンチャン(平昌)」が再び冬季オリンピック誘致に乗り出している。2010年大会は
バンクーバーに惜敗しており、今度こそはと、このところ国際オリンピック委員会(IOC)視察団を迎え
誘致PRに懸命だ。ピョンチャンは韓国の東北地方ともいうべきソウル東方の江原道にある。江原道は
山あり川あり湖ありで豊かな自然が売り物だ。東には海もあり、海の幸、山の幸に恵まれている。
江原道は「カムジャ・バウィ(ジャガイモと岩)」の別名があり、穏やかで素朴な民心でも知られる。
江原道の“食”はというと、ジャガイモにソバ、それに大豆を使った豆腐の料理が有名だ。素朴な
田舎料理風で、昔はそれほど見向きはされなかったが、今や飽食時代とあって素朴、低カロリーが
評価され人気が高い。その象徴が豆腐。最近、ソウルには豆腐の専門料理店がたくさんあり、
多くが「江原道の豆腐」をウリにしている。江原道でも豆腐はニガリが重要なせいか東海岸側に
名所がある。代表的なのが江陵市草堂に由来する「草堂(チョダン)豆腐」で、ニガリのきいた
硬めの田舎豆腐だ。海岸沿いの松林にある「豆腐村」には豆腐を食べさせる店が集まっている。
ただ料理そのものは鍋物などで大したことはないから結局、でっかい生豆腐を薬味醤油をつけて
ガブリと食べるのが一番うまい。
ところでこの「豆腐村」では英語のメニューもあって、豆腐は「BEAN CURD」と元来の英語表記に
なっている。国際的には今や、「TOFU」が一般的になりつつあるのだが、そうなっていない。
どうやら日本語の「TOFU」が気にくわないようなのだ(実は中国語でも“トーフ”というのだが)。
以前、港街の釜山で「国際刺し身博覧会」という不思議なイベントがあった。各種の刺し身を
一堂に集め、つくったり食わせたりというもので、イベントの英語表記が「HOE EXPO」になっていた。
「HOE」は刺し身の韓国語である「フェ(ホェ? 漢字では“膾”)」のローマ字表記だったが、
これを見た外国人たちは「イベントは農機具博覧会か?」と苦笑した。「HOE」は英語では
農機具の鍬(くわ)を意味するからだ。韓国としては「SASHIMI」にしたくないがための苦肉の策
だったのだが。
さて本物の国際的ビッグイベントである冬季五輪開催に向け江原道は豆腐をどうするか。
「TOFU」はあくまで拒否するのか。あるいはこの際、韓国語の「TUBU(トゥブ)」にして
ナショナリズムを発揮するのか。実に楽しみである。(ソウル 黒田勝弘)
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