07/02/16 19:40:27
引き揚げ苦難描いた小説、米教材に…韓国系住民が反対
終戦前後の混乱のなか、朝鮮半島から引き揚げた日本人少女の苦難を描いた自伝的小説が、
米国で学校教材として使うことの是非をめぐり、論議を呼んでいる。
韓国系米国人らは「日本の植民地支配の歴史を歪曲(わいきょく)している」として教材の
使用禁止を要求。「戦争の悲惨さをよく伝えている」との擁護論もあり、日韓の歴史問題が
米国の教育現場に飛び火した形だ。
「どうして今、問題になるのかがわからない」
問題の小説「SO FAR FROM THE BAMBOO GROVE(竹林はるか遠く、
邦訳は未出版)」の著者、ヨウコ・カワシマ・ワトキンスさん(73)(マサチューセッツ州在住)
は納得がいかない表情で語る。
1945年夏。朝鮮半島北部の羅南から、母と姉の3人で釜山への過酷な逃避行が続く。病人が
行き倒れ、日本人女性が朝鮮人に暴行目的で連れ去られるのをあちこちで目撃した。軍需工場に
徴用中に生き別れになった兄は親切な朝鮮人家庭にかくまわれ、数年たって無事日本に帰還した。
小説はこうした実体験をもとに、当時11歳だった「ヨウコ」の目で、引き揚げ中の飢えと寒さ、
死の恐怖を描き、戦争の悲惨さを訴えている。ワトキンスさんは引き揚げ後、青森県の米軍三沢基地で
通訳をしていて知り合った米兵と結婚。55年に米国に移住し、86年に小説を出版した。
ワトキンスさんは各地の学校で自らの体験を語り、平和の尊さを呼びかけている。小説は98年、
教師用のガイドブックで推薦図書に指定されるなど評価が高く、全米の多くの中学校が11、12歳
対象の読書教材として使うようになった。
(>>2に続く)
(2007年2月16日19時22分読売新聞)
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