07/02/12 17:33:52
中国女性の悲劇 元日本兵の悔恨
映画「蓋山西とその姉妹たち」
日中戦争の最中、中国の山村の若い女性たちが、日本軍の性被害に遭った事件を追ったドキュメンタリー映画
「蓋山西(ガイサンシー)とその姉妹たち」が完成した。制作したのは中国人監督の班忠義さん(48)。
被害女性や元日本兵への取材と撮影に十年をかけた。年老いた関係者らの証言は、長い時を経ても癒やされない
血と涙の歴史を今に問いかけている。 (佐藤直子)
舞台は中国山西省の貧しい農村。一九四二年、日本軍に暴行された侯冬娥さん=故人=ら当時十三歳から二十代
だった被害女性らの語りでストーリーが運ばれる。班監督は「幼くして人生のすべてを奪われた女性たちの記録
であり、未来に向かって語られるメッセージ」と作品への思いを語る。
侯さんは山西省で一番の美人を意味する「蓋山西」と呼ばれた。侯さんらは、共産軍と戦って村に侵攻した
日本軍に連れ去られ、一日に何十人もの将兵の相手をさせられた。衰弱して一度は自宅に戻されたが、回復すると
再び監禁された。屈辱の生活の中で、侯さんは同じ境遇にあった年下の少女たちをかばい、時に身代わりになった。
班監督がこの事実を知ったのは、留学生として上智大で学んでいた九二年の夏。都内で開かれた集会で来日した
中国女性の体験を聞き、衝撃を受けた。「体に残った傷あとから今でも血が噴き出すようだった」
撮影を決意し、九五年には侯さんの村を訪ねた。しかし、侯さんは前年に七十三歳で自ら命を絶っていた。
「病気になっても医者にみせる金もない。死ぬよりない」と周囲に語っていた。
被害女性たちは戦後も差別され、病気や貧困にあえいだ。つらい過去は語らなかった。それでも、インタビューを
重ねる班監督には重い口を開くようになった。「今起きていることのように体験を思い出し、恐ろしさで体を震わせる
姿が忘れられない」。村に入った旧日本兵からも証言を集めた。ある人は淡々と語り、ある人は加害を悔やんで涙した。
(>>2に続く)
東京新聞
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