07/02/08 12:11:18
中国の海洋調査 『和』の精神はどこへ
中国が事前通報なしに日本の尖閣諸島周辺で海洋調査を行い抗議にも「強烈な不満」を表明した。
胡錦濤国家主席が表明した各国との「和諧(調和)」を求める姿勢に沿うとは、とても思えない。
中国の海洋調査船「東方紅2号」が沖縄県尖閣諸島(中国名・釣魚島)近くの日本の排他的経済水
域(EEZ)で四日、日本への事前通報なしに調査活動を行った。
日本政府が抗議すると、中国外務省は「釣魚島や付近の島は古くから中国の固有の領土」であり、
「付近で調査を行うのは正当な権利だ」と反発した。
尖閣諸島のある東シナ海には石油など豊富な資源が埋蔵されていることが明らかになっている。
日中両国は二〇〇一年二月、相手国の近海で調査を行う場合には、開始の二カ月前までにお互
いに通報するという「事前通報の枠組み」で合意した。
この枠組みは尖閣諸島について言及していないが「日本側が関心を持つ」海域も事前通報の対象に
なるとされている。現に中国側も過去、尖閣諸島近海の調査について事前に通報してきたこともある。
今回の調査は明らかに、この枠組みを踏み外したものであり、日本側の抗議に対する過剰な反応を
含めて遺憾というほかない。
日本が実効支配している尖閣諸島について中国は周辺に海洋資源の埋蔵が明らかになった一九六
〇年代末から領有権を主張してきた。
しかし、七八年の日中平和友好条約締結時に〓小平氏が、解決は次世代に任そうと述べて問題を
「棚上げ」することを明らかにした。日本政府は日中間に領土問題は存在しないという態度を取って
いる。
今回、中国側が海洋調査を行った上、日本の抗議に尖閣諸島への領有権を持ち出した態度は、
〓氏の知恵をも無にする行為ではないか。
胡錦濤国家主席は今年の元旦にちなんだ演説で内外に「共同して平和、発展、協力を」と呼びかけ
「世界各国人民と互いに協力し和諧(調和)を求めていく」と強調した。
昨年十月、靖国神社参拝中止の確約を求めず、安倍晋三首相の訪中を受け入れ、日中関係を打開
したのはこうした姿勢の表れだろう。関係改善の流れは今月十五日からの李肇星外相来日、四月の
温家宝首相の来日で、さらに強まろうとしている。
この時期の無意味で挑発的な言動は、こうした流れに逆行するというほかない。日本側としても政府
間の直接対話などの機会を通じて中国側の真意を確かめ、再発の防止を求めていく必要がある。
※〓は登にこざとへん
ソース:東京新聞
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)