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米朝金融制裁協議:北朝鮮、制裁拡大を警戒 「マカオの次はスイスか…?」
【北京・西岡省二】北京で30、31の両日開かれた金融制裁を巡る米国と北朝鮮の実務者協議は、
北朝鮮側がマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア」(BDA)で凍結されている口座について、凍結
解除を強く求めたとみられる。北朝鮮は金融制裁解除を核廃棄のプロセスに踏み出すための前提
条件としている。このため北朝鮮が実務者協議の結果をどう評価するかで、8日に再開される6カ
国協議の行方が分かれそうだ。(2面参照)
◇「評価」6カ国協議に影響
「BDAの凍結制裁を放置しておくと、次はスイスをやられてしまう」。中国企業と取引関係のある
北朝鮮ビジネスマンは、北朝鮮当局の苦しい立場を代弁した。
BDA問題では、マカオが米国の指定を受けてBDAを管理下に置き、北朝鮮の約50口座、計約
2400万ドル(約29億円)の資産凍結を続ける。北朝鮮側が最も警戒しているのは制裁の拡大で、
特に金正日(キムジョンイル)総書記らのスイスの個人口座に対する調査への警戒感が強い。
さらに、北朝鮮貿易関係者の間には「口座の凍結を解除してもらわないと取引がスムーズにいか
ない」との悲鳴も広がっている。
北朝鮮は今年の施政方針である「新年共同社説」で経済の立て直しを最優先課題と掲げ、朝鮮労
働党機関紙「労働新聞」などでも「経済強国建設」を繰り返し訴えている。北朝鮮が経済を立て直す
ためにも貿易促進が不可欠で、金融制裁解除が必要だ。
今回の交渉で、北朝鮮はBDA口座の内訳などを詳細に説明したうえで、その合法性を主張したよ
うだ。紙幣偽造やマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いについては、「その被疑者を処罰すれば良
いだけだ」と主張した可能性もある。紙幣偽造などを米国が引き続き「北朝鮮の国家ぐるみ」として
位置づけた場合、それ自体を北朝鮮に対する「敵視政策」と判断することは間違いない。
北朝鮮は今回の実務者協議の結果を持ち帰り、6カ国協議での対応を協議する。ただ、北朝鮮の
「金融制裁解除を通じて米国の政策転換の意思を判断する」という主張に変化はなく、「米朝間の
信頼が醸成された」と判断しない限り、核廃棄に向けた動きには結び付かない。
毎日新聞 2007年2月1日 東京朝刊
ソース:毎日新聞
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