07/02/02 17:16:38
「ニセ日本食退治」か、一種の「マル適マーク」制度か、農林水産省が海外にある
日本食店の認証に乗り出すという。世界で人気の日本食に、現地風変わり種が
多いのは事実だが“日本食ファン”は“日本シンパ予備軍”でもある。
水を差すことが国益になるのか。ちょっとばかり、無粋でよけいなお世話なんじゃ?
今や日本食を名乗るレストランは海外に二万店以上といわれる。中華レストランほどでは
ないにせよ、世界の至るところで日本食を口にできるようになったのは、日本人にはありがたい。
しかし、認証制度の導入に向け有識者会議を設置することを明らかにした
昨年十一月の記者会見で松岡利勝農相はこう述べている。
「日本食レストランと称しつつも、食材や調理方法など本来の日本食とは
かけ離れた食事を提供しているレストランも数多い。日本食は世界的なブームに
なっているが、形だけ利用され中身が伴っていない。本物の日本食を世界的に
広めることができないか」
全米には約九千店の日本料理店があり、この十年間で二・五倍になったが、
農水省によると「経営者が日系人なのは10%以下とされ、中国や韓国、
ベトナムなどのアジア系が主流」という。
食の大国フランスでも日本料理店が増加しており、パリと近郊だけで六百もの店が
集中する。ここでも「日本食ブームに便乗し、中華レストランなどから業態転換した
ケースが多く、食材や調理法の間違ったものが日本食として認識されつつある」(同省)。
すると、認証制度は「まがいものがまかり通るのはけしからん。
“正しい”日本食店だけにお墨付きを与えよう」という単純明快な発想なのだろうか。
実は最近、フランスで、一足先に「正統派の日本料理」を出すレストラン五十店を
厳選したガイドブック(フランス語)が発行された。日仏両国のジャーナリストや
貿易業者らでつくる「日本食レストラン価値向上委員会」が、事前連絡なしに
「覆面調査員」を送り込み、味や品ぞろえ、雰囲気など十八項目の上位五十店を
掲載したもの。日本貿易振興機構(ジェトロ)パリセンターも支援した。
ただ、農水省の方は日本産農作物の輸出促進も狙いだ。
農水省外食産業室の担当者も「食材となる農林水産物の輸出促進にもつながる」と
貿易上の利益に直結することを認める。実際、日本料理店の増加を背景に、
米国向けの農林水産物の輸出は一九九五年の三億六千四百万ドルから、
二〇〇五年には一・六倍の五億九千万ドルに伸びた。
ところが、認証基準などは、いっこうにはっきりしない。ミシュランよろしく店の格付けを
するのか、一定基準を上回る店すべてにお墨付きを与えるのか。また「優良な日本食」の
判断基準をどこに置くのか。寿司(すし)や天ぷらなどの古典的な日本食は可で、
創作料理はダメということなのか。
認証をするには料理のプロでもない外交官に任せるのか、それとも民間の駐在日本人か…。
何を尋ねても同省の担当者は「そのあたりは有識者会議で検討している最中。今月中に
提言をとりまとめる予定なので、今の段階では何とも言えない」と取り付く島がない。
二〇〇七年度予算案にはこの認証制度のために二億七千六百万円が措置されているが、
実は財務省原案ではゼロ査定だった。「こんなものいらない」と財務当局が判断したわけだが、
松岡農相が大臣折衝でねじ込み、満額復活を果たしたという経緯がある。
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ソース(東京新聞):
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)