07/01/31 18:32:32
台湾で所得格差が拡大している。陳水扁政権が発足した翌年の2001年に6・39倍に
達して以降6・0倍以上が続いている。経済の対中国傾斜が強まる中、域内産業の空洞化が
加速したためとみられているが、世論調査では9割近い住民が、貧富格差の拡大に不安を
訴えている。
台湾紙・自由時報によると、世帯当たりの年間平均所得の差は1981年には4・21倍で
80年代は4倍台が続くが、対中投資の増加に比例して90年には5・18倍に広がった。
このため、当時の李登輝総統は「戒急用忍(急がず、忍耐をもって臨む)」とのスローガンを
掲げ、経済安保の観点から対中投資にブレーキをかけた。
しかし、現在の陳水扁政権は経済界を取り込もうと「積極開放、有効管理」という政策転換
で対中投資を後押し。その結果、台湾の対外投資の7割強が中国に集中。繊維や食品と
いった伝統産業から家電や情報技術産業にいたるまでが続々と中国移転を進めた。一方で
大量の安い中国製品が台湾に流入。域内産業を圧迫して雇用バランスが崩れ、低所得層を
中心に失業や実質賃金の低下を招いた。
行政院(内閣)主計処の統計によれば、所得格差は対中投資が加速した2001年に6・39倍
となり、以後6・0倍を超える高い水準が続いている。一世帯当たりの年間平均所得は05年、
低所得層が約30万元(約110万円)だったのに対し、高所得層は約180万元(約660万円)と
二極化が鮮明となった。
民進党政権は、サービス産業の創出などで雇用確保に努め、実際、2006年の平均失業率
は3・91%と前年比0・22ポイント低下。4%以下に抑えるとしてきた政権の目標値はクリア
したが、抜本的な解決には至らず、貧富格差にいらだつ庶民の不満を払拭(ふっしょく)できない。
台湾誌「天下」が昨年末から年明けに実施した世論調査では、63・5%が失業不安を抱え、
86・9%が「貧富格差が拡大した」と回答。52・5%が民進党あるいは陳総統の責任だと
している。
台湾中央研究院の蔡吉源副研究員は「執政6年で産業が大量流出し、台湾が『M字型
(所得の2極分化)社会』となるのも当然だ」と政権の失政を批判している。
▲ソース:Yahoo!ニュース/産経新聞(日本語)2007-01-30 08:00
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