07/01/30 14:15:06
中国残留孤児:早期帰国支援義務、国に責任なし 東京地裁
永住帰国して首都圏に住む中国残留孤児40人が「早期帰国を実現し、帰国後に自立支援する
義務を怠った」として、国を相手に計13億2000万円(1人3300万円)の賠償を求めた
訴訟で、東京地裁は30日、請求を棄却した。加藤謙一裁判長は判決で「早期帰国実現などの
法的義務は国にはない」などと述べ、国側の責任を全面的に否定した。
帰国孤児の約8割に当たる2210人が1高裁・14地裁で係争中の集団訴訟で3件目の判決。
請求棄却は05年7月の大阪地裁判決に続き2件目で、国の賠償責任を認めた昨年12月の
神戸地裁判決とは異なる判断を示した。東京地裁の原告は計1092人で全国の半数に近く、
各地の訴訟に影響を与えそうだ。
原告は75~00年に帰国した60~74歳の孤児。「国策で満州(中国東北部)に送り出した以上、
戦後は早期帰国させる義務が国にはあった」と主張していた。また、高齢になって帰国したので日本語
習得や就労が困難で、国の自立支援策も不十分なため生活保護で暮らすなど「普通の日本人として
人間らしく生きる権利」を侵害されたと訴えた。
これに対し国側は「法律上、早期帰国実現や自立支援の義務はない。72年まで中国と国交がなく、
帰国させる方法もなかった。自立支援策も不十分とまでは言えない」と反論。「原告は戦争被害の
補償を求めているが、被害者は孤児だけではない」として請求棄却を求めていた。
原告らは訴訟外で、老後を保障する給付金制度創設などを求める活動もしており、与野党の国会議員が
対応を検討している。【高倉友彰】
毎日新聞 2007年1月30日 13時55分
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