07/01/28 17:55:27
「タプタプパダ」という韓国語がある。「もどかしい、じれったい」といったニュアンスだ。日韓関
係の現状をそう感じる。昨年十月、就任直後の安倍晋三首相が中韓両国を電撃訪問。歴史問題でぎく
しゃくした日中関係は、温家宝首相の四月来日で合意するなど改善の動きが加速している。日韓は盧
武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の来日日程も詰め切れない。
もっとも、日本政府内の雰囲気は冷ややかだ。「もどかしいというか、萎(な)えちゃったんですよ
ね」。ある外交官のつぶやきだ。原因は盧大統領。昨秋、訪韓した首相とソウルの青瓦台(大統領
府)で向き合った盧大統領は、直前に起こった北朝鮮の核実験発表への対応もそこそこに、歴史問題
で延々と持論を展開したという。首相にしてみれば靖国神社参拝などで持論を封印しての訪問だった。
民主主義と市場経済。「共通の価値観」を外交のキーワードにする首相にとって「中国より韓国に親
近感があった」(外務省幹部)はずなのに、すっかりボタンを掛け違えてしまった。
歴史問題で立場を一変させるのは難しい。中国の胡錦濤国家主席も歴史問題を当面、封印したにすぎ
ない。「韓国は中国と政治体制が違う。世論への配慮も必要」という指摘は一理あるにしても、戦略
的な決断をするかどうかの問題だ。首相訪韓に続きハノイで開いた首脳会談、二十五日の年頭記者会
見……。大統領は「なぜ日本だけが過去の問題を黙殺しようとするのか」と訴える。「大統領発言は
事前に調整不能」との印象が強まるにつれ、政府内には「無理して来日を実現させずともよいので
は」という空気すら漂う。
韓国は今年十二月が大統領選。この一年間をなんとかしのいで次期大統領と「戦略対話」をしようと
いう発想だ。今のところ大統領選は盧大統領と対立する保守的な野党ハンナラ党が優位な情勢でもあ
る―。それでいいのだろうか。「盧大統領だけが反日的というわけではないですよ」。ソウル大国
際大学院の朴喆熙副教授は心配顔で指摘する。今は大統領の言動ばかりが目立つが、歴史問題に関す
る意識で与野党に根本的な差はない。特に領土に絡む竹島(韓国名・独島)問題ではナショナリズム
に火がつきやすい。
二〇〇二年の大統領選。在韓米軍の装甲車が女子中学生をひいて死亡させた事件の対応を機に反米感
情が沸騰。反米志向の強い若年層の支持をうけて誕生したのが、ほかならぬ盧大統領だ。ただ、その
大統領も現実の政策では次第に対米協調路線をとった。韓国内の対米感情も随分、改善しているとい
う。だからこそ「選挙の年の反日」が気になってくる。二月二十二日は島根県が条例で決めた竹島の
日。竹島周辺の海底地名の登録を巡って昨年、日韓が対立するきっかけになった国際水路機関(IH
O)などによる国際会議は今夏も予定されている。中国はもちろん、韓国も首相の靖国参拝への警戒
は解いていない。
「草の根交流の拡大で、政治の世界と一般市民の対日感情にギャップも出始めている」(静岡県立大
の小針進助教授)との指摘もある。「反日」が大統領選を左右するとまでは考えにくい。それでも、
大統領候補らが過激な対日政策を公約に掲げる状況をつくりだす必要もないだろう。
「相手が変なことをしなければ大丈夫なんだが……」。日韓の外交当局からは同じ言葉が聞こえてく
る。それではあまりに芸がない。これから一年、お互い知恵の見せどころだ。
(政治部次長 内山清行)
ソース:日経新聞朝刊二面風見鶏をエラ通信氏がテキスト化
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