07/01/26 13:16:25
「やっぱり」。中国や東南アジアから来日する研修生の受け入れや実習が適正に行われているのか、
疑問を抱いていた通りだ。岡山・広島両県警と広島入国管理局が二十四日、岡山市内の企業経営者
とインドネシア人の男六人をいずれも入管難民法違反の疑いで逮捕した。外国人研修・技能実習制度
を悪用したケースである。
経営者は役員を務める協同組合が受け入れたインドネシアからの研修生を、国に認可された企業とは
別の企業に派遣して働かせて、不法就労助長の疑いが持たれている。元研修生のインドネシア人らが、
この制度では同一業種での再入国を認めていないため他人名義のパスポートを使い、不法入国・滞在
したとの情報もある。
関与した組合の一つが広島、岡山両県内の企業に派遣したインドネシア人やフィリピン人の研修生は
毎年百―百五十人に上ると聞く。実態解明はこれからだが、不法就労の現場が恵まれた労働環境に
あるとは到底信じがたい。研修の名目に隠れてどんな労働がなされているのか、子細に把握する必要
がある。
研修・技能実習にまつわる違法行為が摘発されると関係者からは不満が漏れる。「企業は人件費を
節約できるし、研修生も本国よりは高い収入が得られる。そっとしておけば誰も困らないのに」。これは
一方的な了見ではないか。
研修といいながら座学もなく、十分な指導もないまま深夜まで単純労働を強いられる。パスポートを会社
に預けてしまい身動きもとれない。研修生のこんな訴えにはしっかり耳を傾けたい。
不正行為への罰則強化や労働実態に見合った仕組みの創設など、制度の見直しに向けて、国も動きだした。
昨年九月、法務省のプロジェクトチーム報告は、賃金の不払いなどさまざまな問題が生じて発展途上国
への技術移転という本来の目的にそぐわない事例が多いと、問題点を明記した。厚生労働省の研究会は
見直しの具体化を協議中。「官から民へ」の流れを促してきた規制改革・民間開放推進会議さえ、昨年末
の第三次答申に「研修生の法的保護、技能実習生の在留資格整備」を盛り込んでいる。
この十五年、百人を超す中国人研修生を受け入れてきた山口県内の協同組合の役員は「みんな意欲は高い。
きちんと教えれば企業にも国際交流にも有益」と言う。こんな関係をもっと広げよう。
ソース:中国新聞(「中華人民共和国」ではなく、「中国地方」の新聞社です)
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