07/01/20 00:19:26
【中国】混乱続くカーナビ業界、しのぎ削る300社
中国のカーナビゲーション業界で混乱が続いている。市場が年平均100%を超える勢いで拡大を続けるかたわら、
今後の需要増を見越したメーカーが相次ぎ市場に参入し、現在は自社ブランドの製品を展開する企業だけでも300社
以上が乱立。まだ“黎明期”であるカーナビ市場のシェア奪い合いにより、メーカーの大半が大幅な赤字を出している
のが現状で、一部関係者の間には「このままでは市場が確立される前に、メーカーが共倒れになる」と悲観的な見方も
出始めている。
■普及率わずか2%
中国における全地球測位システム(GPS)を採用したカーナビ機器の普及率は、現時点で約2%。日本の59%、
韓国の40%、また欧米の25%を大きく下回っており、潜在的な市場は100億元規模に上るとの見方もある。
ただ、市場の持つ将来性とは裏腹に業界内ではメーカーが乱立、混乱が続いているのが実情だ。業界関係者は
「電子地図の作成からソフト開発、組み立てまで、カーナビ関連の事業で利益を出している企業はほとんどないはず」
と指摘する。
■年平均100%の成長
背景には、市場がいまだ黎明期にもかかわらず、市場の今後を楽観視したメーカーが相次ぎ参入、製品が市場に
大量に流入している現実がある。家電大手・四川長虹の調査によると、06年通年のカーナビ機器の販売台数は
20万台前後。2004年に約4万台、05年に10万台だったことを考慮すると、年平均 100%以上の伸び率で猛増している
計算になるが、関係者は「たとえ1台3,000元のカーナビが20万台売れたとしても、市場はいまだ6億元規模」としたうえで
「メーカー数百社がシェアを奪い合うなか、こんな状態で利益など出るわけがない」と分析する。
また安易な参入についての問題を指摘する声も多い。関係者によると、ここ数年でカーナビ生産に参入した企業のうち、
自主開発を行っているメーカーはいまだごく少数。大半は関連技術を50万~100万元程度で、ほか電子地図の使用権を
10万~50万元でそれぞれ購入、最後に委託先となる組立工場や販売業者を探す形で製品を製造しているのが現状という。
IT業界関係者は「同様の方式でカーナビ機器を生産しているメーカーは、判明しているだけで200社以上」としたうえで
「結果的に付加価値の低い、同レベルの製品が市場にまん延することになる」として、市場の将来性だけを見込んだ安易な
方式での参入に警鐘を鳴らす。
■先を行く大手
中国のカーナビ機器販売台数は、今年は40万台以上に達する見込み。すでに参入を果たしている企業の中にはTCL、
海爾(ハイアール)、新科、創維(スカイワース)、康佳など地場系家電大手のほか、ノキア、モトローラなど欧米の通信
機器も多い。
大手の中には大々的な広告戦略に踏み切ったり、付加価値の高い製品を打ちだしたりと、他社との差別化を図る
動きも出始めている。中小メーカー関係者のなかには「かつての家電業界のように価格競争がぼっ発した場合、
このままでは市場が完成する前に、技術力および資金力のないメーカーが瞬時に淘汰(とうた)される」として、
今後の展開を不安視する声もある。
先ごろ参入を発表した四川長虹の関係者は「現在の状態は昔の家電市場と同じ。長期的な戦略を持った大手メーカー
のみが生き残れる」として、今後の事業展開に自信を見せる。動き始めたばかりの中国カーナビ市場、黎明期を経て
最終的にどこにナビゲートされていくのか、今後も注目していく必要はありそうだ。
最終更新:1月19日8時0分 NNA
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