07/01/13 11:45:27
韓国大統領候補の「公約検討」報道
韓国で次期大統領候補の一人が日韓トンネル構想を公約にすることを検討中との報道がなされ、
同構想に対する関心がにわかに高まっている。韓国では社団法人の発足など新たな動きもある。
ただ、両国にまたがる巨大プロジェクトであるだけに相手国に対する国民感情に左右されやすいなど、
構想が実現に向けて動きだすには超えるべきハードルも少なくない。(ソウル・上田勇実)
すでに社団法人発足
「日本側と業務協力」で合意、国民的同意がカギに
韓国通信社・聯合ニュースは先日、年末に行われる韓国大統領選挙の有力候補に数えられる
高建・元首相(69)の側近が同ニュースとの電話インタビューで、
「最近、高建・元首相の諮問グループが内部ワーキングショップで
韓日海底トンネル建設を公約として前面に打ち出そうというアイデアを出した」と述べたとし、
「大統領選公約として韓日海底トンネル建設を検討中」と報じた。
この報道を受け、日韓双方のメディア数社が同ニュースをソースとする同様の内容を伝えた。
その後、公約検討の真偽について高建氏側は「事実ではない」とする“釈明”をしており、
「今後、公約になる可能性はどちらかといえば低いだろう」(広報特別補佐官)と、
むしろ急激にトーンダウンさせるかのような印象を与えている。
日韓トンネル構想は、日本の九州北西部と韓国南東部をつなぐ海底トンネルを掘り、
日韓両国にまたがる高速鉄道と高速道路を走らせる大規模な計画。
日韓両国の共存共栄、アジアと欧州を結ぶ人的・物的交流の拡大など、
日韓トンネルにはとてつもない経済効果が予想されている。
これまでに日本側は竹下元首相が自民党での検討を指示したり、最近では二〇〇三年に
自民党の政党アクションプログラムである「一つ夢実現二十一世紀会議(議長=麻生太郎)」において
実現に向けた政策提言が行われた。
URLリンク(www.worldtimes.co.jp)
一方、韓国側は金大中前大統領、盧武鉉大統領がその必要性に言及しており、
比較的最近も第一野党ハンナラ党の現職議員が
「一日一万人以上が両国を往来する時代に空や海の輸送だけでは不足」と公の場で指摘、
日韓・韓日議員連盟で正式な議題として提案すると意欲を示した。
韓国の建設交通省は一昨年、約百兆ウォン(約十二兆円)ともされる建設費用の財源不足などを理由に
「建設の妥当性はない」とする報告書をまとめているが、韓国学界の一部からは
「コンソーシアム(国際借款団)をつくって民間ファイナンスも可能であるため、
資金はそれほど心配する必要はない」という指摘も出ている。
高建氏が今回、同構想を公約に掲げる可能性が浮上した背景には、次期大統領候補として競争相手となる
李明博・前ソウル市長や朴槿恵・前ハンナラ党代表(党首)らが、選挙公約に
大型プロジェクトの推進を打ち出したことが挙げられる。
李氏は韓半島の主要河川を運河で結び、経済効果や地域感情の克服を目指す「大運河構想」を、
また朴前代表は韓国西部と中国、日本の間に「列車フェリー」を運航させる構想をそれぞれ発表しており、
高氏としてもインパクトのある大型プロジェクトを公約に掲げる必要性に迫られていた。
韓国では、昨年十月に同構想推進に向け社団法人「韓日海底トンネル研究院」
(理事長=朴慶夫・韓国防災協会会長)が発足し、理事には建設交通省の現職局長や
大手ゼネコンの幹部らが名を連ねている。日本側とトンネル建設に向けた業務協力を行うことでも合意している。
日本側も昨年、国鉄で技術畑を歩んだ元参議院議員で、小泉再改造内閣で法相を務めた野沢太三氏が
特定非営利活動法人(NPO法人)「日韓トンネル研究会」の新会長に就任。
自由民主党政務調査会の参与として構想実現に向け政策提言していく考えを明らかにしている。
ただ同構想に関しては、日韓両国にまたがる大きな懸案であるため、
それぞれの国民の相手国に対する感情に左右される可能性もある。
日本における嫌韓感情、韓国における反日感情が少なくない現状で同構想を訴えることは、
いかに国家元首といえども世論の反発を買うリスクと背中合わせ。
高氏が公約検討を否定しているのも、こうした政治的負担感からだとみられる。
このため構想実現には、まずは「基本的に両国関係が良好となり、国民的な同意が得られるか否か」
(申章澈・崇実大学教授)がカギを握るとみられている。
ソース 世界日報
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