07/01/10 20:27:51
日本は去年9月、フィリピンとの間にEPA=経済連携協定を結びました。これが発効されますと、
早ければこの春にもフィリピンから、看護師や介護福祉士が日本にやってくることになります。しかし、
人材を送り出す側のフィリピンでは、新たな問題が持ち上がっています。
年の瀬を迎えたフィリピン。首都マニラの空港はこの時期、海外の出稼ぎ先から休暇を過ごすため
に帰省した労働者たちでごった返します。
「工場で働いています。家族を養うためです」(台湾から帰省した女性)
「(Q.出稼ぎに出て何年?)ほぼ4年です。帰省は今回が初めてです」(サウジアラビアから帰省
した男性)
「家に帰れて嬉しいよ」(アメリカから帰省した男性)
国内の高い失業率を背景にフィリピンの出稼ぎ労働者は増え続け、今や人口のおよそ1割が海外
で働き、その仕送りはフィリピン経済を支える重要な収入源となっています。
看護師も例外ではありません。ひと月の平均給与が2万円前後という国内の病院に見切りをつけ、
フィリピン人看護師の3割から4割が欧米や中東などの外国の病院で働いています。
新たに看護師を目指す若者も増えてはいますが、そのほとんどは外国行きを希望していて、人材
の流出に歯止めがかかりません。
「日本や豪州、中国に行きたいです」(看護学生)
「カナダと豪州を希望します。日本は言葉が難しそうで・・・」(看護学生)
日本へも来年以降、年間200人ほどのフィリピン人看護師がやってくる見込みです。外貨収入を
増やしたいフィリピン政府は、今後、日本に対し受け入れ枠を拡げるよう求める方針ですが、フィリピン
国内からは看護師のさらなる流出による医療の質の低下を懸念する声が高まっています。
「海外に行くのは経験豊富な看護師ばかりなので、フィリピンの医療は危機にさらされています。
外貨と引き替えにフィリピン人看護師を売るのは不公平です。我々だって質の高い医療が必要
なんです」(フィリピン看護師協会・タムセー理事)
出稼ぎ労働者からの仕送りによって支えられてきたフィリピン経済は、それがもたらす「人材の
空洞化」というもう1つの問題にいまだ向き合えずにいます。
▲ソース:TBSニュース(日本語)2007-01-09 17:29
URLリンク(news.tbs.co.jp)