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北方領土をめぐる日本・ロシア両政府の交渉で、4島返還か2島(歯舞、色丹)返還かと
いう従来の原則的立場を超え、新たな考え方で解決を探る動きが出てきた。ロシアの
デニソフ第1外務次官が昨年11月、モスクワで公明党の太田昭宏代表と会談した際、
ロシアと中国が05年、帰属が確定していなかった国境の島を面積で折半して領土問題
を解決した経験を自ら披露していたことが明らかになったためだ。1月下旬にも日露両国
外務次官による「日露戦略対話」の初会合が行われるが、ロシア側の責任者の発言
だけに、注目される。太田氏ら同党議員団とデニソフ次官の会談は、昨年11月23日に
モスクワ市内で行われた。
関係者によると、デニソフ次官は「プーチン大統領は領土問題を凍結するつもりはない。
双方で受け入れ可能な条件を探していきたい」と発言。その中で05年6月、中露国境の
河川で長年の懸案だった中州3島の帰属について、面積分割の方法で、話し合いにより
決着させた経緯を説明した。
太田氏らは、事前に外務省と「日本側から面積分割の話は持ち出さない」と確認して
会談に臨んでいたが、デニソフ次官が自ら言及したため「それを北方領土にも適用でき
ないのか」と質問。デニソフ氏は「線を引けばすむ問題ではない。(互いの国内)世論の
問題がある」と答え、同じ方法での早期解決に、会談ではあくまで慎重な姿勢を崩さ
なかったという。
ただ、公明党関係者がこの後、ロシアの別の外交筋と領土問題で意見交換した際、この
外交筋も「それ(面積分割)で日本は受け入れるのか」と関心を示したという。
1月の「日露戦略対話」を皮切りに、今年前半にはフラトコフ露首相が来日する予定。
08年5月に任期切れとなるプーチン大統領の後継候補の1人、イワノフ国防相兼副首相
も年内に来日する見通しで、今年は日露の政府間対話が加速する。
日本側は戦略対話を停滞する領土問題解決への糸口と位置づけ、安倍晋三首相に
近い外務省の谷内正太郎事務次官が責任者として臨む。ロシア側責任者の発言に、
与党内には「(7月の)参院選までに成果を上げれば安倍政権の支持率も上向く」との
期待感もあるが、公明党訪露団の報告を聞いた安倍首相は「(4島返還という)強い
意見があってもいい」と述べ、楽観論を戒めたという。
麻生太郎外相が昨年12月13日の衆院外務委員会で「面積分割」方式に言及した時は
ロシア側が強く反発し、日本側は「政府として検討しているわけではない」(塩崎恭久
官房長官)と否定に追われた経緯もある。政府筋は「動き出すのは2回目の戦略対話
からではないか」と述べ、ロシア側の出方を慎重に見極める構えだ。
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