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将棋界が久々に戦国時代に突入した。かつて7大タイトルを独占し、「七冠ブーム」を
巻き起こした羽生善治(37)は9月に王位を失い、王座・王将の二冠に後退。
タイトルを5人で分け合う。羽生二冠が弱くなったのか、それとも他の棋士が強くなったのか。
9月26日夜。羽生王位に深浦康市八段(35)が挑戦した王位戦七番勝負の最終第7局は、
大詰めを迎えていた。残り時間が切迫、深浦八段は読み切れないまま「これしかない」と
決断し桂馬を跳ねた。直後にその手が羽生玉への「詰めろ」になっていることに気付く。
「いける」。深浦八段は何度も言い聞かせた。この瞬間、実は羽生王位に勝ちを決める
奇跡的な返し技が生じた。大勝負のぎりぎりの場面で必ず正解を発見してきた羽生。
だが、この日は正着に指がいかなかった。まもなく、5人目のタイトル保持者が誕生した。
深浦王位が初めてタイトル戦に登場したのは96年の王位戦。羽生六冠(当時)が相手だった。
「存在感に負け、勝負にならなかった」。11年たち、意識は大きく変わった。「『羽生さんだから』
良い手を指すわけではないし、同じ人間だからミスもする」。盤上に徹する心境になれたことが
勝利を呼び込んだ。
前人未到の七冠制覇、タイトル獲得67期、7割3分近い抜群の高勝率―。
「羽生」の実績は圧倒的だ。王位戦敗退1週間後には王座戦16連覇の偉業を達成した。
それでも90年代半ばの七冠時代ほど勝っているわけではない。何が違うのか。
「人を寄せつけない鋭さ、常に戦っている緊張感を感じたが、今はだいぶ穏やかになった」と
森内俊之名人(37)。03~04年、タイトル戦で3連続で羽生を破った唯一の棋士だ。
6月には、最も歴史がある名人戦で羽生に先駆けて通算5期の「永世名人」の資格を手に。
それでも「その時その時で羽生さんをしのぐ棋士が出ることはあるが、やはりトータルの実績で
見ることが大切」と一目置く。
羽生二冠と131局(引き分け含む)戦った佐藤康光棋聖・棋王(38)は「中・終盤の正確さは
明らかに飛び抜けており、精度が落ちたとは思えない。(総合力で)七冠時代よりも
おそらく強い。他の棋士も強くなったということでは」と話す。
>>2以降に続く