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大相撲時津風部屋の序ノ口力士、斉藤俊さん(当時17歳)=時太山ざん)=が急死した
問題で、遺体を解剖した新潟大大学院の出羽厚二准教授(法医学)が毎日新聞の取材に
応じ、「初動に問題があった。家族に指摘されて解剖する事態になったのは大失態」と愛
知県警の不手際を指摘した。【岡田英】
斉藤さんは6月26日、午前11時10分ごろからぶつかりげいこを始め、約30分後に倒れ、
同日午後2時ごろ死亡が確認された。愛知県警は捜査員を派遣し検視を行ったが、遺体
が運ばれた犬山市の病院が死因について「心不全」と判断したこともあり、事件性は薄い
とみて遺体を部屋側に返した。
関係者によると、26日深夜に遺体を引き取った新潟市の遺族が傷を不審に思い、新潟県
警に解剖を要請。同県警は検視の結果、「普通の傷ではない」と判断、愛知県警に連絡し
た。死後1日以上経過した27日夜に出羽准教授に愛知県警から解剖の要請があった。
解剖の結果、死因は「多発外傷による外傷性ショック死」で、出羽准教授は、当初の死因
とされた心不全・虚血性心疾患について「これは解剖結果ではないし、違う」と否定した。
その上で、「『激しいぶつかりげいこで亡くなった』という部屋側の話をうのみにして事件性
がないと判断した可能性がある」と愛知県警の検視を疑問視した。さらに「家族に連絡も
せずに遺体を親方に返してしまった。結果的に加害者(の疑いがある部屋)側に返したこ
とになり、常識的に考えておかしい」と批判した。
出羽准教授は、解剖は当初発表のあった監察医による行政解剖ではなく、遺族の了承を
得て公費で行う「公費承諾解剖」と呼ばれる方式で行われたことを明らかにした上で、「私
に連絡がつかず解剖が行われなければ、『事件性がない』で終わったかもしれない」とも
指摘している。
出羽准教授の指摘に対し、愛知県警幹部は「しかるべき(初動)捜査を行ったが、(遺体の
扱いなどについて)批判を受けても仕方ない部分もある。真相の解明に向け、さらに必要
な捜査を進めたい」などと話している。
毎日新聞 2007年10月14日 3時00分 一部略
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