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師匠の“お願い”を受け入れなかった。自宅で引きこもりを続ける朝青龍に
「記者会見→治療」の線で説得した高砂親方だが、不調に終わった。
「まず会見をやってもらおうと思っていたが、本人は気持ちの整理がついていない。
治療してから、会見ということになります」。説得に失敗した親方は「私の力不足」と
渋い表情をみせた。
高砂親方が東京・墨田区内の朝青龍の自宅マンションを訪れたのは、処分決定後
３度目。６日に２０分間、９日に１時間３０分の面談をしたのに続き、「今度こそ」の
決意で弟子宅を訪れた。１時間１０分の説得が実らず、協会に戻ったが
「もう１回行ってくる」とＵターン。Ｔシャツにタオルを羽織ったラフな姿だったという
朝青龍は、ネクタイ姿で汗をかきながら必死に説得する師匠の言葉を受け入れなかった。
“仮病疑惑”とも騒がれている夏巡業休場問題に端を発し、協会から厳罰を受けて、
心にダメージを負った。精神科医は「急性ストレス障害」と診断。朝青龍の知人で競馬の
アドマイヤ軍団のオーナー、近藤利一氏が高砂親方の説得に同席したが、近藤氏が
その“異常”ぶりを証言した。
近藤氏によると、朝青龍はほとんど会話もせず、ひげが伸び、髪も乱れ、野武士の
ようだったという。「若い衆に乱暴したり、物を窓から投げようとして、普段とは違う」。
テレビに映る自らのニュース映像を見ると涙ぐむ状態で、睡眠薬を貪るように摂取して
いたため、近藤氏は「やめろ」と一喝したという。
精神的ショックは癒える気配すらない。高砂親方は当初の方針を断念。
「治療→記者会見」の手順を踏むよう方向転換した。精神面のケアに加え、
巡業を休む理由となった腰や左ひじの治療を先に行うことを決定。相撲診療所の
吉田博之所長を介して、１３日から精神科や整形外科の医師が往診をすることになった。
「（会見は）ちょっとかわいそうな感じ。私の判断が甘いといえば、それまでだが…。
会見の期限？ いつまでとはいえないな」と高砂親方。自らの口で“みそぎ会見”が
できない状況に陥っている朝青龍の、完全復活への道は険しくなる一方だ。
（大塚功）
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