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耐えた。粘った。しのいだ。15人、いや5万超の敵に、何とか引き分けに持ち込んだ。
試合後、水を口に含む選手たちの表情からは安堵感が漂う。
未体験の完全アウエー状態で、若き日の丸戦士が、さらにたくましくなった。
「難しい環境のなか、よく戦った。私もサッカーをやって三十何年たつが、こんな
レフェリーでサッカーをやったのは初めて。大会全体に“?”がつくような大会。
あきれている。これは大会組織委員会のせいだ」
反町監督は憤りを隠さなかった。予定通り主審、副審2人、第4審判とすべて中国人。
スタッフによると大会前の会議で抗議したところ、中国審判団責任者が
「我々はFIFAの審判。安心しろ」といわれたが、やはり、痛烈な“洗礼”を受けた。
日本が普通の当たりでボールを奪ってもすぐにファウルの笛が吹かれ、接触さえ
許されない。反対に中国のサッカーとは思えないハードなタックルが流された。
スタッフは「副審が大声で中国国歌を歌っていた。これじゃ、ダメだと思った」と明かす。
「やっぱりかと思った。反日感情があると聞いてたけど、さすがにひどかった。
こっちは体を寄せると笛が鳴る」
DF安田理も怒りをぶちまけた。前半15分、後方から倒された。通常ならイエローカードが
出てもおかしくない場面。「カードや」とアピールすると、反対に警告を出された。
04年のアジア杯では反日感情から社会問題にまで発展した中国。試合後、FW李は
左すねを打撲し包帯。MF谷口は両足に無数の傷を負った。
ただ収穫も大きかった。2次予選ではシリア、マレーシアなど敵地で戦った反町ジャパンだが、
ここまでの経験は初めて。最終予選ではサウジアラビア戦など過酷な状況が予想される。
李は「こういうアウエーでできたのはよかった。これからのサッカー人生で、いい経験になる」。
反町監督は「非常にタフなゲームだったが、収穫があった。きょうは体を張ったDFとか、
気持ちが出ていた。選手たちをほめてあげたい」。逆境の中、つかんだ勝ち点1。
この経験は必ず最終予選で生きてくる。
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