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【野球】「松坂家はカネが必要だった」松坂西武入団の裏側
●「横浜以外は社会人」とブチ上げたが…
松坂本人は「横浜命」ではなかった。
横浜高校の野球部長・小倉清一郎は「いまだから言えますが」と前置きして、「あれは演技でした」と言い切った。
横浜高校は、何人もの高校生をプロに送っている。小倉は、生徒の気持ちを知っていた。「松坂はどの球団でも行ったでしょう。広島は、ちょっと遠いから嫌がったでしょうけど」と、打ち明けた。
ネックは「社会人」だった。理想は横浜でも、希望はプロ入りだった。小倉が言った。
「松坂のところは、カネが必要でした。そりゃ横浜に行けたらよかったでしょう。在京のセ・リーグが希望でしたし、横浜なら地元でベスト。われわれも、ベイスターズの練習場を借りたりしていましたから、横浜は都合がよかった」
●共働きでも楽でなかった家計
しかし、松坂家の事情はプロを最優先した。
松坂が高校に進学するとき、父親の諭は勤務先をかえた。社宅を追い出され、母親の由美子は夜のアルバイトを始めた。西葛西の「恋泥棒」というカラオケスナック。昼間は運送会社の事務をやっていた。朝から深夜まで働くのに疲れた。
松坂は「プロで投げたい」一心だった。その自信があったし、小倉からも「１０勝はする」と、太鼓判を押されていた。
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