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オレンジや緑など大胆に色をあしらった南国の風景のような柄の着物に、赤いチューリップが
描かれた黄色の帯。手にとって見せてくれたのは、コイン形のモダンな帯留めだ。
「この帯留めは、めのう製。着物も含めすべてアンティークです。色遣いやデザイン、どれも
個性がありますよね」
毎日を着物で過ごすようになって4年。夏の暑い日でも、素材を選んで身にまとう。
作品の締め切り前、インクやペンを持って徹夜を続けるような日々も、かっぽう着をつけて着続ける。
着物との出会いは10年ほど前。漫画家としての活動が軌道に乗ったころに奮発して購入した1枚だ。
だが、数回着ただけでタンスの肥やしに。
「良いものだけに着ていく場所も難しくて。おはしょりの調節など覚えることも多く、大変でした」。
身構えるばかりで、着物から遠のいていった。
距離が近づいたのは、30歳代に入ってから。
これから女性としてどんなふうに年齢を重ねていくか、そんなことを考えながら手持ちの服を整理した。
あのときの着物も出てきた。
「(CLAMPの)メンバーが『日常に着物を取り入れてみたら』と、アドバイスしてくれたんです」。
特別な服として着るのではなく、自分の生活になじむ着物に。新しい考え方だった。
手始めにのぞいたのは、リサイクル着物の専門店。思った以上に状態の良いものが多く、価格も
手ごろだった。古典柄から現代アートのような色遣いのものまで豊かな個性に驚いた。
洋服を選ぶように、好きな色や模様を探し歩いては買い求めるようになった。
そのころ誕生日プレゼントとして贈られたのが、めのうの帯留めだった。
シンプルなだけに、合わせ方は自由。インスピレーションも広がった。
着こなしを考えるのが楽しくなり、装飾品を含め、着物や帯、手持ちの品はいつの間にか100点を
超えるまでになった。
「普段着だった時代があるのだから、現代の私は洋服のように着こなせばいい。気後れする必要は
ないんですよね」。最低限の着付けやマナーは学んだ。洋風の小物を合わせたり、色遣いを冒険したり。
「失敗もしますが、必ずだれかが正してくれます。着こなしや季節感など、先輩たちから学ぶことばかり。
奥の深い世界です」
豊かで歴史のある着物の世界。肩の力を抜いたら、少しずつ自分のものになってきた。
創作活動にもいい影響を与えてくれた気がする。
「着物の世界ではまだまだひよっこの『お嬢さん』でいられるんですよ。それも楽しくって」
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