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鳩山法相―軽率すぎて話にならぬ
現職の法相が国際的なテロ組織とかかわりのありそうなことを言ったのだから、だれでも驚いてしまう。
「私の友人の友人がアルカイダなんですね。私は会ったことはないんですけれども、2、3年前は何度も
日本に来ていたようです。彼はバリ島の中心部の爆破事件に絡んでいた。私は彼の友人の友人ですけれども、
バリ島の中心部は爆破するから近づかないようにというアドバイスは受けておりました、私は」
鳩山法相が話をしたのは、外国特派員協会主催の講演会でである。
日本の法務行政のトップがテロリストとつながりがあるのか。しかも、5年前にインドネシアのバリ島で
起きたテロを事前に知っていた。それなら、200人以上が犠牲になった事件をなぜ未然に防ごうと
しなかったのか、と思ってしまう。発言はただちに世界に報じられた。
ところが、さらに驚いたことに、鳩山氏は講演の後、発言を訂正した。
友人から聞いた話で、その真偽は確認していない。聞いた時期はバリ島の事件の3、4カ月後だ。
アルカイダと聞いているが、過激派グループに協力している人かもしれない、というのである。
どこまでが事実なのか。急にあいまいな話になってしまったのだ。
鳩山氏は「舌足らずで誤解を生む部分があった」と釈明した。しかし、これは「舌足らず」ということでは
すまない。テロのような深刻な問題で、不確かなことをさも事実のように話すのは、社会の安全を
守るべき法相としては、あまりに軽率ではないか。
法相発言は、入国する外国人の指紋を取り、顔写真を撮影する制度の意義を訴える流れの中で出てきた。
この制度はテロ対策の一つとして11月20日から始まるが、「外国人すべてを危険視し、偏見を生む恐れがある」
として反対論や慎重論がある。鳩山氏は制度の必要性を海外メディアに訴えたかったのかもしれないが、
こんな粗雑な例を持ち出しては、逆効果だったのでないか。なんとも浅はかというほかない。
鳩山法相の軽率な発言は、これが初めてではない。
法相が死刑執行を命じる現在の制度について、「法相が絡まなくても執行が自動的に進む方法はないか」
と述べた。死刑はひとたび執行すれば取り返しがつかない。そんな重い事実を考えていないかのような
発言には違和感を覚えざるをえなかった。
司法試験の合格者を昨年度の1500人から3000人にまで増やすという政府の方針にも、鳩山氏は
「多すぎる」と異を唱えている。欧米に比べて少ない法律家を増やすことは長年にわたって論議され、
政府が進めている司法制度改革の柱であることを忘れてはいけない。
テロ対策、死刑制度、司法改革。そうした大事なことについて軽口をたたくようでは、法相の資格はない。
ソース
URLリンク(www.asahi.com)