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病院で緊急に執り行われるものと言えば、手術に決まっている。8月26日の真夜中過ぎ、
ニュージーランド・タウランガ市内の病院にイブリン・ハリスさんという33歳の女性が運ばれてきた。
かなり重篤な容態だった。医師たちは、彼女の命の灯火が今夜中に消える可能性もあると告げた。
一刻の猶予も許されない状況だった。しかし、緊急で執り行われることになったのは手術ではなく、結婚式だった。
イブリンさんにはハワードさんという夫がおり、しかも3人の幼い子供たちがいたが、まだ正式に結婚式を挙げていなかった。
病院に運ばれたイブリンさんには夫のハワードさんと子供たちが付き添っていたが、知らせを聞いて
身内の人たちや友人たちも病院に続々と駆けつけた。
夜勤中の医師やナースたちの協力の下、大至急で式の準備が行われた、病院中から花がかき集められ、
牧師も眠い目をこすりながら現れた。
こうして、にわかごしらえの“緊急結婚式”が午前2時45分の病室でささやかに執り行われたのである。
しかし、医師たちは、どうして緊急処置を取ろうとせずに緊急結婚式を許可したのだろうか?
実は、イブリンさんは3ヶ月前に余命数ヶ月の宣告を受けていた。末期の胃がんだった。
まだ正式な結婚式を挙げていなかったイブリン&ハワード・ハリス夫妻は、せめて死が2人を分かつ前に
式を挙げたいと考え、9月1日にグリアトンのヤットン・パークでの挙式を予定していた。
イブリンさんは自分に残されたわずかな時間を病院ではなく、自宅で家族たちと共に過ごすことを選んだ。
しかし、8月25日の夜中に容態が急変し、病院に救急搬送されたのだった。
病院に到着したとき、イブリンさんは辛うじて意識はあったものの、危篤の状態に陥っていた。
緊急結婚式は、危篤の“新婦”がベッドに横たわったままの状態で行われた。
「お医者さんたちによると、イブリンの命は朝まで持たないかもしれないということでした。だから、もうその場で式を挙げる
以外にないと判断したのです」と夫のハワードさんは言う。
式が終わったとき、それまで今にもあの世に旅立ちそうなくらいに苦しげだったイブリンさんの容態に明らかな変化が現れた。
瞳を大きく開き、微笑んだ。そして、ハワードさんの目をしっかり見据えて、こう言った。「私は、まだ死なないわ」と。
その言葉のとおりだった。緊急手術ならぬ緊急結婚式は、イブリンさんの容態を劇的に好転させた。
翌朝には退院が許されたのである。今回の緊急挙式は、予行演習だったということになりそうだ。
当初の予定どおり、9月1日に正式な結婚式を挙げることができそうな見込みである。
今にもあの世へ旅立とうとしていた彼女を夫や子供や家族や友人たちみんなの愛がこの世につなぎとめた、ということになろうか。
できれば、今回だけに限らず、もっと長くつなぎとめることができればよいのだが。
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