07/11/29 23:05:23
京都のメーカーが、次世代の蓄電技術として期待されているキャパシタの開発に
しのぎを削っている。これまでの蓄電池に比べ長寿命で、大電力を急速に放出できる
特性を生かし、瞬時の電圧の低下から機器を守る電源装置などに用途を広げる。
一方、従来の蓄電池メーカーも、市場を奪われまいとキャパシタの得意領域を狙った
製品開発を進めている。
ニチコンは、電源用コンデンサー製造で培った経験を生かし、関電工などとキャパシタを用いた
瞬時電圧低下補償装置(瞬停装置)を開発、今年4月から販売を始めた。
落雷などで起きる数秒以下の電圧低下に対応、OA機器などに電力を即座に供給して故障を防ぐ。
「瞬時に電気を取り出す用途は鉛蓄電池よりキャパシタのほうが有利」(古矢勝彦取締役)といい、
2009年度に関電工と合計で売上高30億円を目指す。同社はまた、電車やフォークリフトの
減速、制動で発生した回生電力をためる二次電池にもキャパシタの応用を目指す。
日新電機もキャパシタ搭載の瞬停装置を10月に発売した。室温30度で30年の長寿命が特長で、
初年度20台の販売を目指す。キャパシタ単体も、電装化が進む自動車のバックアップ電源など
向けに販売する方針。
オムロンの持分法適用会社のパワーシステム(横浜市)も10月、新型キャパシタ4機種を発表、
販売を始めた。容量や電圧などに応じて特徴付け、建設機械の回生エネルギー回収や瞬停装置など
に用途を見込む。
一方、鉛蓄電池で国内最大手のジーエス・ユアサコーポレーションは、エネルギー密度が高い
リチウムイオン電池でキャパシタに対抗する。キャパシタが主流を占める自動車の電子制御用
バックアップ電源として、新型リチウムイオン電池「タフィオン」を開発した。リチウムイオンの
弱点である高温への耐性を高め、室温80度でも1年持つようにした。「低温下での出力向上や
長寿命化で実用に結びつけたい」(研究開発センター)。
キャパシタ陣営が実用化を目指す回生電力の用途では、リチウムイオン電池モジュール(複合部品)
を実用化。鉄道会社向けに販売を始めるなど、いち早く市場を抑える戦略でキャパシタを引き離そう
としている。
【キャパシタ】
コンデンサーの別名。電気二重層という現象で化学反応を使わずに電気をそのままためるので
寿命が長い。大電力を一気に放出し、充電も短時間で可能。半面、エネルギー密度はリチウムや
鉛などの蓄電池より小さく、コストも高めという課題がある。
●ニチコンが開発したキャパシタ。従来の蓄電池に比べ寿命が長く、
急速に充放電できるのが特長だ
URLリンク(www.kyoto-np.co.jp)
◎ソース 京都新聞
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