07/11/26 14:05:33
★「和漢箋」未曾有のヒットの理由
発売後、約1年で30億円突破。
漢方薬「和漢箋(わかんせん)」(ロート製薬)が売れている。
以前はドラッグストアの隅にひっそりと置かれていた漢方薬だが、最近は店の中ほどで漢方薬
コーナーを目にするようになった。
これまでヒット商品とは縁遠かった漢方薬。
10億円がヒットの目安とされる大衆薬市場においては驚きの好調さだ。
人気を呼んだ要因は、なんといってもイメージを刷新したことが大きい。
これまで漢方薬には、地味で難解な雰囲気が付きまとっていたが、「和漢箋」はパッケージに
オレンジやグリーンなどの明るい色を使って難しそうなイメージを排した。
さらに、「溜まった脂肪を落とす」「憂うつや不安感を改善する」など、端的な言葉で効能を前面に
配することで、消費者に商品価値を分かりやすく伝えることに成功している。
敷居も低くなり、ずっと身近になったところで、他社もあとに続けとばかり、明るく親しみやすい
漢方薬を続々と発売し始めた。
ロート製薬では、他社の追随に対して不快感を示すどころか、「相次ぐ他社製品の発売は漢方薬
売り場のイメージを変えるのを手伝った」と余裕を見せている。
ところで、古くから服用されてきた漢方薬の中に、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」といわれる
ものがある。
便通を改善するので、便秘薬として売られていることもある薬だ。
実は、7種類ラインアップされている「和漢箋」の中の「溜まった脂肪を落とす」バージョンが
これで、主成分はこの防風通聖散なのである。
種を明かせば、防風通聖散はいくつかの効能を持っている薬。便秘薬として売り出すのではなく、
脂肪を落とす効果を前面に出したのが「和漢箋」なのである。
「メタボリックになりたくない」「やせて美しくなりたい」などといった現代人の要望に合わせて、
古くからある漢方薬を、新たな商品として送り出したのだ。
近年、企業経営戦略として、「ただ闇雲にイノベーションすればいいというわけではない、既存の
資源の中に使えるものを探し出し見直すべきだ」といった声が聞かれる。
漢方薬という世にある既存の資源の中から生まれた「和漢箋」はまさにこの戦略を具現化した
ものだといえる。
ロート製薬では、今後は商品単体だけではなく、「和漢箋」シリーズ全体としての育成、漢方薬
市場の活性化を図りたいとのこと。
ますますパワーアップしそうな漢方薬市場。さらに注目が集まりそうだ。
(江口 陽子)
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