07/11/22 19:53:30
>>1の続き
月面のハイビジョン画像は、NHKのニュースや番組で何度か放送された。ネットにはHDTV受像器で
見た者の「テレビを買い換えておいてよかった」という声があちこちにかき込まれた。ハイビジョン画像を
ネットに公開していれば、NHKとしても、HDTVの圧倒的なクオリティを分かりやすく、ハイビジョン
受像器をまだ所有していない一般の人々にも届けることができたはずだ。
それは、2011年のアナログ放送停波とデジタルHDTV放送移行に向けて、ハイビジョン受像器の普及を
推進しなければならないNHKにとって、強力な援軍となったろう。
なによりも、アポロ8号以来の記念碑的画像を一般医公開することによって、NHKは、高い技術力を
世界にアピールすると同時に、貴重な画像を人類共有の資産とする見識の高さを世界に示すことが
できたはずである。
しかし、NHKは画像をネットで公開しようとはしなかったのである。
■ビジネスとネット公開を両立させる手段は存在する
NHKは、この件に関して、「放送局としてコンテンツは放送で提供する」という態度を取っている。
海外についても「海外の放送局に素材を提供する」としており、ネット公開には否定的だ。
色々聴いていくと、NHKが公開を渋った理由は、「安易にコピー可能な形でネット流通させると、取得
画像を使ったビジネスがしにくくなる」という危機感があったようだ。
実際にインターネットでは、YouTubeの出現以来、動画共有サイトが一般化し、既存の著作権の
考え方では著作権を侵害する動画像がアップされる事態になっている。特に日本のHDTV放送は、
コピーガードのあまりの厳しさが問題になっているところでもある。NHKが、「事態が微妙なので、
あえてネット公開をして事を荒立てたくない」と考えるのは理解できないわけではない。
また、成功が保証されない探査機に投資することを決断したNHKが、それなりにビジネスチャンスを
持つのは当然だろう。
しかし、声高に権利を主張して一般へのデータ流通を阻害するのは、やりすぎではないだろうか。
実際、静止画像にまで「JAXA/NHK」とクレジット入れるやり方は、NASAのアポロ8号による画像
(画像そのものにはクレジットは入っていない)と比べて、「JAXA/NHKはケチだ」「誰の金で載せた
カメラだと思っているのか」という印象をネットユーザーに与えかねない。(中略)
放送局であるNHKとしては、オフィシャルには認めたくない事実かも知れないが、インターネットへの
動画像掲載は、全世界に「これほど素晴らしい画像なのだ」と伝えるのに最高の手段なのである。
現状のところ、「かぐや」が取得した「地球の出」の画像は、「日本の月探査機がアポロ以来の、
素晴らしい価値ある画像を取得した」という事実を広く知らせるよりも、NHKの狭量さを全世界に
アピールしただけという、残念な結果となっている。特にNASAがずっと以前から“太っ腹”の情報
公開を行っているだけに、「自分だけよければ」という態度は目立ってしまう。
画像の素晴らしさと反比例するかのような貧弱な公開方法は、著作権保護の利点よりもNHK、
ひいては日本という国のイメージ低下という点で害のほう大きい。今からでも遅くはない、JAXAと
NHKには、ハイビジョンクオリティの動画像をネットで公開することを検討してもらいたいと思う。
-以上-