07/11/22 19:53:13
★月面画像をネット公開しなかったNHK
URLリンク(www.nikkeibp.co.jp)
(略)
日本の月探査機「かぐや」が撮影した月の際から昇る地球と、月の際に沈む地球のハイビジョン映像が
公開された。かつてない高精細の月面の画像であり、一般に与えたショックは、アポロ8号が撮影した
有名な「地球の出」にも比肩するものだった。
ところが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とNHKは、肝心のハイビジョンクオリティの動画像を、
ネットで公開することを許可しなかった。マスメディアの報道向けにHD-CAMテープに収録された
ハイビジョン画像が配布されたものの、ネットでの公開は480×270ピクセルに縮小した画像のみ、
それも可能な限り一般ネットユーザーがローカルにダウンロードできない形式で公開することという
制限が課せられた。
「かぐや」の価値を一般に広く広報しなければならない立場のJAXAは、ネット公開をむしろ
希望していた。渋ったのはNHKだった。しかし、この処置は2011年のアナログ放送停波とデジタル
HDTV(高精細テレビ)放送移行を控えたNHKにとっても有害無益だったのではないだろうか。
公開を渋ったNHKにより、日本という国も、JAXAも、NHK自身も、そして何より素晴らしい画像に
触れ損なった日本を含む世界中の人々が損をする結果となった。
■国民からの資金と多くの人の協力により、ハイビジョンカメラは搭載された
そもそも、「かぐや」の開発段階では、NHKのハイビジョンカメラの搭載は、疑問視されていた。
「かぐや」搭載の通信システムは月周回軌道から地球に10Mbps(1秒間に10メガビット)のデータを
送信できるように設計されている。この速度では、1分間のハイビジョン画像を伝送するのに20分
かかる。つまり、その他の科学観測機器の取得データを送信する時間が、圧迫されることになる。
このため計画に参加した科学者達の間では「科学観測のための探査機が、ハイビジョンカメラの
せいで十分なデータ伝送が不可能になるなら本末転倒だ」という意見が強かった。
それが、実際に探査機に搭載されるにあたっては、JAXA宇宙科学研究本部(ISAS)の的川泰宣
教授(現宇宙教育センター長)が、ハイビジョン画像の広報的価値を見抜いて「搭載しよう」と周囲を
説得したという経緯があった。(中略)
現状でも、ネットはハイビジョン画像の一般への公開の有力な手段である。確かにハイビジョン
クオリティの動画像のファイル容量は巨大ではあるのだが、今やハリウッド製の映画はほぼその
すべてが、ハイビジョンクオリティで予告編画像をネットで公開するようになっている。ネットの
インフラはすでに整備されているといえる。
世界は日本の月探査機が取得した圧倒的なヴィジュアル素材に触れ、「なんと日本はすごい技術を
持っているのか」と思ったはずである。それは、世界における日本という国のプレゼンスを示すことでも
ある。(中略)
JAXAは、もちろん「かぐや」の存在意義を分かりやすい形で世界に、そして日本の一般国民に示す
ことができたはずだ。それは間接的にJAXAの予算獲得への援護射撃となったはずだ。
>>2に続く