07/10/18 08:45:24
新素材や大胆なアイデアでメード・イン・ジャパンの眼鏡が元気を取り戻しつつある。グラデーションの
かかったフレームやレンズのアクセサリー、和のテイストと、楽しみが増えている。手ごろな価格の中国製の
眼鏡が市場を席巻しているが、国内メーカーは安全性と高い技術に加え、欧州などのメーカーに負けない
デザイン力を備えることで世界のトップブランドを目指そうと奮闘している。（小川真由美）
≪手彫りの彫刻≫
今月10日から12日まで、東京ビッグサイト（東京都江東区）で開催された「メガネの国際総合展IOFT2007」。
世界4大眼鏡展の一つでアジア最大級の同展は、国内外の有力ブランド・メーカーが秋・冬の新作モデルを
初披露する場として定着。さまざまなデザインや機能性をもった眼鏡が並ぶ。同展が選ぶアイウエア・オブ・
ザ・イヤーで機能・技術部門を受賞したリアルメガネ（本社・東京）の最新作（12月に発売予定）は、チタン
より弾力性のあるゴムメタルをフレームに使用しており、装着時のブレやズレがなく、顔と一体化した感覚で
つけられるという。さらに装飾用にアセテートフレームという接着や研磨が自由自在の素材を使うことで、
グラデーションや光沢感など微妙な色づかいが可能になった。同社営業担当の新井久治さんは「黒でも
白でも単色だとフレームの色が強調されすぎて顔や洋服とのバランスが崩れる。少し違う色が混ざることで、
かける人の存在感がぐっとあがる」と話す。
一方、“眼鏡のピアス”で個性的なデザインをアピールするのは、クロスフォー（本社・甲府市）。
左レンズの下に穴をあけ、貴金属やペンダントなどのアクセサリーをつけて楽しむ。アクセサリーは付け
替え可能だ。同社はダイヤモンドなど貴金属をはめるタイプを平成16年に初めて発表したが、コスト面で
採算があわず、今秋の全国発売まで3年がかかったという。ほかにも、手ぬぐいの布や糸をフレームにはめて
和テイスト全開の山元眼鏡商会（本社・福井市）の新作や、ツゲを使った木製フレームに手彫りの彫刻
デザインを施した眼鏡などさまざまだ。
≪安全で高品質≫
国内の眼鏡の生産は、ここ数年、安価な中国製に押されて急落している。眼鏡フレームの9割を製造する
福井県鯖江市によると、眼鏡製造の事業所数は平成16年度は267社で、11年度の819社と比べて3分の1に減少。
出荷額も16年度は695億円で、11年度の約7割に落ち込んだ。半面、中国製の玩具などに鉛など有害物質が
使われていることがわかり、中国製品に不信感が広がっている。ニッキンワーク（本社・鯖江市）の中塚
勝彦さんは「今こそメード・イン・ジャパンの安全性、信頼性を見直してもらえたら」と期待を寄せる。
また、部品もほぼ100％日本製というこだわりをもつリアルメガネの井上文秀社長は「うちは世界で通用する
自信がある」と胸を張る。
今年のアイウエア・オブ・ザ・イヤーでは15点のうち純国産メーカーは7点受賞。機能・技術部門では日本
企業が受賞したが、トレンド部門では欧州メーカーが独占した。機能や安全性に加え、デザイン性が高ま
れば、日本製品は世界のトップブランドとなる可能性は十分あるだろう。エスクァイアマガジンジャパン
「ディア」編集長の富川淳子さんは「安全で高品質という本物を知り、かつ時代の空気、トレンドを読める
“デザイナー職人”が日本の20、30代に増えている。これからが楽しみです」と語った。
産経新聞 URLﾘﾝｸ(sankei.jp.msn.com)