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非正規雇用の拡大に伴って急増する人材派遣業者が、新たなトラブルを巻き起こしている。
業界の過当競争を背景に、利益だけを追い求める無責任体質が新規業者の一部にはびこり、
賃金の「ピンハネ」が横行。別の業者が介在した「二重派遣」や、契約書類の虚偽記載など
の違法行為も目立つ。厚生労働省の行政指導も追いつかない状態だ。景気回復を下支えする
派遣労働者が、その劣悪な雇用環境に押しつぶされようとしている。
「同じ仕事なのに、時給が500円も違うなんて……」。大阪市内の派遣業者を通じて
大手メーカーの工場に勤務した女性(39)は憤りを隠さない。
8月、仕事があるたびに契約を結ぶ「登録型派遣」で工場に行くと、派遣会社8社ほどから
約50人の労働者が集まっていた。時給は交通費込みで800円。最初は全員同じ条件だと
思っていたが、労働者同士で会話するうちに、社によって時給が異なり、最高で1300円が
支給されていたと知った。派遣会社に苦情を訴えると、「最低賃金は超えている。嫌なら
やめろ」と突き放されたという。
繊維卸会社に派遣された兵庫県内の男性(25)は6月、雇用主の派遣業者から口頭で長期契約
を約束されていながら、3カ月で打ち切りになった。派遣先が急きょ、正社員を採用したの
が理由。業者からは「1カ月前に告知したので違法ではない」と告げられた。
最近になって、派遣先の意向に沿えるよう、数カ月間単位の契約を更新していく「細切れ
派遣」が目立ち、雇用の不安定さが深刻化しているという。男性は「派遣会社は下請け
企業みたいなもの。派遣先の顔色ばかり見ている」と肩を落とす。
99年に改正された労働者派遣法で派遣業務が原則自由化され、04年には製造業にも解禁
されて一気に広がった。派遣業者の事業所数は99年度の約1万2700カ所が、06年度には
約5万1500カ所に急増。特に都市部で開業ラッシュが続く。
大阪労働局が受け付けた件数は04年度に782件だったのが、06年度は1440件。今年度も
6カ月間で1千件を超えた。同労働局が希望者向けに毎週開いている講習会は、用意した
20席が常に埋まる。参加した男性(45)は「人を集める人脈さえあれば、自分にもできると
思った」と動機を話した。
ただ、派遣業者が増えすぎて、派遣先企業との力関係の弱体化が指摘されている。1事業所
あたりの05年度の売上高は、正社員だけを派遣する「特定派遣事業」で98年度の
約1億2千万円から約7600万円に、登録型や日雇い派遣もできる「一般派遣事業」は
約3億9千万円から約3億円に落ち込んだ。派遣先が支払う平均派遣料金(8時間換算)も
99年度と比べ、いずれも約1割減少している。
厚労省の担当者は「派遣先が派遣業者を選別している状態。業者の業績低迷が労働者の
待遇悪化にはね返っている」と懸念を示す。
続きます。ソースは
URLリンク(www.asahi.com)