07/10/12 20:51:21
文化庁の文化審議会著作権分科会は12日、第23回会合を開催した。分科会では、法的課題について
議論してきた「法制問題小委員会」と、私的録音録画補償金制度などについて議論してきた「私的録音
録画小委員会」から中間報告が行なわれ、10月16日からそれぞれの中間報告に対してパブリックコメントを
募集することが確認された。
●著作権法違反の「非親告罪化」については慎重な検討が必要
法制問題小委員会では、インターネット上でより多くのコンテンツを流通させるための促進法制や、海賊
版の拡大防止のための告知行為の防止策や親告罪の範囲見直し、障害者福祉関係などの用途に対する権利
制限の見直しなどについて、法制面での課題を検討。今回、小委員会でのこれらの議論が「中間まとめ」と
して報告された。このうち、海賊版の拡大防止のための措置として、現在、著作権法違反については告訴が
必要とされる「親告罪」が採用されているが、重大・悪質な犯罪に対処するため、告訴を必要としない
「非親告罪」とすることが可能かについて議論が行なわれてきた。
中間まとめでは、著作権等の侵害を一律に非親告罪化することは不適当であり、また一部の犯罪類型を
新たに非親告罪化することについても、社会的な影響等を見て慎重に検討することが適当であるとしており、
非親告罪化については慎重な見解を示している。小委員会の座長を務めた東京大学教授の中山信弘氏はこの
問題について、「特許法などは既に非親告罪となっているが、特許権は一部のプロだけが関係するもので
あるのに対して、著作権は日本国民全体の問題になってきている。語弊があるかもしれないが、厳密に
言えば著作権侵害をしたことがない人はおそらくいないだろう。国民のすべてが何らかの形で侵害に関与して
いるという状況で、著作権侵害を非親告罪として良いのかといった点については、これから慎重に議論して
いきたい」とコメントした。
この他の問題では、ネットオークションなどに美術品や写真等を出品する際に、その商品の画像を掲載する
ことが著作権との関係で問題となるのではないかという指摘に対して、商品の紹介のために行なう画像
掲載は売主の義務として必要不可欠なものであり、許諾なしに利用できるようにすることが適当であると
委員会ではまとめている。これに対して出席した委員からは、「販売目的という名目で作品を大量に
ネット上に公開するといったことのないように、条件や範囲を検討してほしい」という要望が挙がった。
また、検索エンジンでWebページを収集する行為が著作権侵害となる恐れがあるという指摘については、
何らかの権利制限を講じることが適当であるとまとめており、権利制限の対象範囲や、権利者が検索対象と
なることを拒否した場合の対応、収集したコンテンツがそもそも違法複製物であった場合の対応などの
論点について、早急に結論を得るとともに具体的な立法措置のあり方を明らかにすることが必要だとしている。
【以下略】
impress URLリンク(internet.watch.impress.co.jp)
文化審議会著作権分科会(第23回) URLリンク(www.mext.go.jp)