07/09/12 11:09:02
>>1の続き
◆廃棄も視野に入れた製品思想に
中古の家電品は海外向けの輸出が増えている。テレビや冷蔵庫など主要家電4品目を
例に上げると、家庭や事業者で廃棄された3分の1の700万台近くが中古品として海外、
特に発展途上国に輸出されている。経年劣化問題は海外に輸出された中古家電品にも
共通するし、むしろ中古品だけだから深刻な問題でもある。日本国内で一定期間ごとに
買い換えを促せば、その廃棄品が中古品として次々に海外に輸出される恐れも大きい。
日本が危ない中古家電品の大輸出国として非難されないためには、その対策も十分に
考えておく必要があるだろう。現状のまま放置するのではなく、将来の状況改善に向けて
布石だけは打っておく必要がある。安全という点から言えば、「壊れ上手」はその手だてには
なるだろう。
家電品はいま、国内で廃棄段階での不法投棄が絶えず、回収やリサイクルの制度整備が
課題になっている。流通業者が消費者から廃棄処分費用をとりながら、廃棄品をリサイクル
業者に渡さずに輸出業者に横流しし、処分費を猫ばばする不正も起きている。海外向けには
中古品として再利用ができない廃棄品も違法に輸出されたりしている。環境汚染を早急に
防止するため、廃家電品対策は急務と言える。最も重要なのは個々の製品のトレーサビリティを
高めて実態を把握しやすくすることで、技術的にはICタグの活用などが議論されている。
トレーサビリティ機能は経年劣化した製品の把握にも役に立つはずである。家電品のメーカーや
輸入業者が製品の点検をするには、購入者の情報の把握管理が必要だからだ。つまり、
家電品はリサイクルと経年劣化製品の把握の両面からトレーサビリティが求められて
いるわけで、家電品にICタグを活用する価値は十分にありそうである。ICタグは製品の
修理履歴も書き込める。製品のライフサイクルを通して情報を管理するのにも適している。
ICタグについてはプライバシー保護の問題が絡み、導入には慎重意見もある。確かに衣服や
所持品にICタグがついていれば個人の行動が監視されてしまう恐れがある。だが、耐久
消費財ならICタグをつけても日々の行動が監視されるわけではないだろう。プライバシー
保護を優先するあまり、家電品の無責任な廃棄や環境汚染が起きていいはずもない。
責任の所在の把握や履歴管理に限定するのならICタグの活用も進めるべきではないか。
家電品も旧来の思想をいつまでも引きずっていては進歩がない。壊れ上手の技術もICタグも
取り込んで安心・安全で環境保全も考えた製品に脱皮させる必要がある。
-以上-