07/07/28 23:36:51
■今のところは「米ドル全面安」
米ドルの全面安がついに対円にも波及してきました。米ドル/円相場は25日(水)、
一時120円の大台を割り込み、5月初旬以来の119円台まで円高ドル安が進みました。
気の早いメディアでは「円安から円高に転換か?」などという記事も見られています。
しかしながら、現状はまだ「円高」ではなく「ドル安」と見ておいて良いと思います。
米ドル/円相場は6月22日に124円台をつけてから約3.5%下落していますが、同時に
米ドルはこの期間の間に対ユーロでも同じく約3.5%、対豪ドルでは約4%下落してます。
最近の状況は「米ドル全面安の展開の中で上昇が遅れていた円が、ようやく他の通貨と
同様のところまで上昇してきた」というところというのが正確だと思います。
■サブ・プライム問題に対する疑心暗鬼が米ドル安の要因
米ドルが全面安の様相となっているのは、米国の住宅・不動産の問題、とりわけ
サブ・プライム・ローン(既に多くの債務を抱えている方や低所得者の方向けに高利で
行う住宅ローン)の焦付きが表面化し、多くの金融機関が損失の計上を余儀なくされる
公算が高まっていることです。
「公算が高まっている」というのはどういうことかというと、これは日本の90年の
バブルの後とまったく同じように「不良債権が今どの程度あるのか」をまったく計測
できていないことから、どこまで問題が深刻化するのかが見えていない、という
非常に恐ろしいことがおきているということです。
当コラムでも何度かお伝えしていますが、米国の住宅ローン市場は、例えば読者の
皆様が住宅ローンをA銀行から借りたとしても、実際にはA銀行は「証券化」により
そのローン債権をB銀行やCファンドに売り渡しており、A銀行はただ資金の管理を
しているだけ、という例が日本とは比べ物にならないくらいに一般的です。
問題は、この「証券化されたローン債権」がきちんと評価されているかです。つまり、
読者の皆様が土地の値段が下がってしまったのでどうも借金を返済できそうにない
という時に、それを「不良債権」として評価をしなおし、最終的に予想される焦付き
=損失を計上し直す必要があるのですが、そういうことをきちんとやっているか
どうかが問題になります。
しかしながら、実際にはこれは最近までほとんど「正常債権」として扱われてきました。
ローン債権をもっているB銀行やCファンドは、こうした「証券化されたローン債権」に
流動性がほとんどなく、しかも格付会社からAAA格を付与されているものも多くあった
ことから、まったく手をつけていなかったのです。
>>2に続く
▽News Source MSN-Mainichi INTERACTIVE 2007年07月26日
URLリンク(money.jp.msn.com)
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