07/07/12 21:56:04
商品先物を扱う大阪商品取引所(大阪市)が、今月1日付で(名古屋市)に
吸収合併され、113年の歴史に幕を下ろした。
大阪商取は合併後の中部大阪商取の「大阪取引センター」として存続したが、
昨年12月に福岡商取を吸収合併した関西商取(大阪市)とともに、
取り巻く環境は厳しい。先物取引発祥の地の大阪は正念場を迎えている。
大阪取引センターで4日開かれた合併記念式典で、木村文彦理事長は
「大阪の灯は消さない方針を堅持したい」と強調した。
「大阪の灯」とは、江戸時代に堂島米会所が日本で唯一の米先物市場として幕府に認められ、
世界で初めて近代的な商品先物取引が始まった伝統を意味する。
商品先物は、農産物などの商品を将来の一定日時に一定価格で売買することを約束する取引だ。
本来は生産者らが価格変動リスクを回避するための手段だが、比較的高リスク・高リターンの
投資として利用されることが多く、利用者の9割近くが個人投資家という。
大阪取引センターでは、旧大阪商取で上場していたアルミニウムや天然ゴム指数など
5商品の取引を継続しているが、運営は容易ではない。
勧誘の規制強化などに伴い個人投資家の獲得が困難となり、出来高が激減しているからだ。
2006年の旧大阪商取の出来高(速報)は61万6272枚と、前年比61・5%減まで落ち込んだ。
大阪で唯一の商品取引所となった関西商取も“風前のともしび”だ。
福岡商取の吸収合併で、8品目だった上場商品はコーヒー指数、ブロイラーなど11品目に増えたが、
12月の出来高は前年同月比76・2%減に落ち込み、06年の国内シェア(占有率)は0・34%だ。
東京工業品と東京穀物の上位2取引所だけでシェアが9割近くに達し、
東京一極集中に歯止めがかからない。さらなる再編は必至といわれる。
厳しい環境下で、大阪の市場活性化を模索する動きもある。
中部大阪商取は昨年12月、学識経験者などで構成する「大阪市場振興戦略会議」を立ち上げ、
今月から大阪市場への会員加入料を引き下げた。
木村理事長は「一般投資家向けのPRを強化するなどし、既存商品の取引を引き上げたい」と話す。
関西商取も今年、現在は市場のないコメ先物の上場を国に再申請しようと準備を進めている。
ただ、関係者の間では、「投資対象が多様化する中、今夏施行の金融商品取引法で垣根がなくなる
証券と金融のように、商品先物も一体化できる法環境を整え、投資家を呼び込まないと生き残れない」
との声が上がる。
現物株取引が東京証券取引所に集中する中、株価指数先物に強みを持つ大阪証券取引所と、
「先物」を共通項に連携を望む声もある。知恵を出し合い、商品取引以外の分野との協力も
視野に取り組まなければ、「先物の大阪」復権への道は遠のくばかりだ。
ソース
URLリンク(job.yomiuri.co.jp)